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本日の「読了」
宮崎徹『猫が30歳まで生きる日』(時事通信社 2021)
副題は "治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見”である。AIMとは、
Apoptosis
Inhibitor of
Macrophage
マクロファージの細胞死を抑制する分子
で、これが猫の寿命と何の関係があるのかはぜひ本書を手にして欲しい。
ことは、猫だけではないのである。というより、出発は人間である。筆者も人間を相手にした医学者である。
AIMは生きていく過程で体内にでてくる「ごみ」を掃除する役目を持っており、ゴミが溜まって起こる病気──例えば、腎臓病やアルツハイマー型認知症など、切り札? とも期待される物質。合成されるものではなく、人間も生来持っているものである。
それがひょんなことから、天寿を全うする猫の(正確にはネコ科)ほとんどが腎臓病で死ぬ(猫もAIMを持ってるのだが、どういうわけか働かないのだ)という現実につながり、腎臓を病んだ末期の猫に投与すると劇的な効果を見せ、やがて、愛猫家や獣医師、動物園の強い期待を受けて、創薬に向けて動き出し、強力なスポンサーを得て、治験の仕上げにかかろうかというその時にcovidが……。
頓挫するも、AIMは猫の寿命を延ばすだけではなく、頓挫の引き金となったcovidウィルスによる重症化抑止にも効果が期待できる。猫の腎臓病に効果的であるので人間のそれにも適用できる。
ネコ好きではないが、ワクワクするようなサイエンスストーリーだ。
創薬にはとんでもないお金がかかると言われているが……。
だれか、猫好きの金持ちはいないものかねぇ。キッシーやその家族が猫好きだったりしないものか。[2021.11.24. ぶんろく]
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