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おじさんがいきなり絶交するだけの話(なのに面白い)『イニシェリン島の精霊』【映画レビュー】

★★★★☆ 
鑑賞日:2月13日
劇 場:伏見ミリオン座
監 督:マーティン・マクドナー
主 演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン


本作の舞台は本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さい島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた…。

出典:公式ホームページ


前作『スリー・ビルボード』がめちゃくちゃ高い評価を受けたマーティン・マクドナー監督の新作。

まずは ↑ の予告を見てほしい。

アイルランドの孤島で仲が良かったおじさん2人が絶縁する話のようだ。

実際に鑑賞するとそれ以上でもそれ以下でもないことがわかる。
本当におじさんが絶交するだけなのだ。

「お前とは絶交だ」       「マジか・・・」

しかもその言い分が納得できるような、できないような感じ。
曰く、

「お前の話はマジでつまらない。お前は本当に退屈な人間で一緒にいるだけ時間の無駄。音楽を演っていた方が楽しいし後世にも残る。だからもうオレに話かけてくるな」

と容赦なく一方的に突き放して終わりである。

当然、言われた側は「なんで?昨日までは仲良かったじゃん。オレが何か悪いことした?」となるのだが、相手は全く聞く耳なし。

その内、事態はエスカレートして・・・

本当にただこれだけの話なのだが、恐ろしく見応えがあり面白い。

いや、もう少し正直に書くと、見終わった時は、こんなものを見せられてどんな気持ちになればいいんだ、と困惑していたのだが、いまは良い映画だったな・見て良かったなという感想。

絶交される側のコリン・ファレル(の垂れ眉と情けない顔)、する側のブレンダン・グリーソン、少し風変りな島の住人バリー・コーガンと役者陣がとにかく見事。妹役のケリー・コンドンも印象的。

今年のアカデミー賞作品賞にノミネートも納得の1本でした。

(text by Presiden TRM)



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