フルネームで呼びたい入間みちおと坂間千鶴。『映画 イチケイのカラス』【映画レビュー】
★★★☆☆
鑑賞日:1月15日
劇場: TOHOシネマズ赤池
監督:田中亮
主演:竹野内豊 黒木華
好きで観ていたテレビドラマの映画版。
「真実を明らかにすることが、必ずしも幸せとはかぎらない」
「怖くないの?真実を知らないまま暗闇を歩き続けることが」
「法律は社会の約束。しかし全ては守れない。こぼれる人がいる。そんな 時、彼らのために真摯に向き合えるかが真の法律家だ」
裁判官には「他職経験制度」なるものがあり、10年のうちに2年間別の仕事を経験するよう義務付けられているようで、今回坂間千鶴は裁判官ではなく弁護士として活躍する。
しかもバディは、斎藤工演じる人権派弁護士月本だ。法廷で裁判官と弁護士という立場で入間みちおと対峙することになるが、二人の掛け合いは変わらず楽しい。
イージス艦と貨物船の衝突事故あり、防衛大臣が出張ってきたりとスケールは大きくなっていたが、テイストはドラマと変わらず安心して観ることができた。
誰のための正義か、学級委員長よろしく真っすぐに、時に違反を犯し、悩みながら成長していく坂間千鶴と「回りまわって自分のため」と周囲を巻き込み真実に迫る入間みちお。悩む坂間千鶴を見守る入間みちおの眼差しは愛情に満ちていた。「もっと悩め坂間千鶴」やはり素敵なバディであった。
昨年鑑賞した『ガリレオ 沈黙のパレード』にも吉田羊が出ており、図らずも既視感を覚えた。日本映画ではよくあることだが。
向井理と斎藤工はドラマ版『アキラとあきら』だし…斎藤工は脇で演るこういうちょっとアウトローな役が巧くてカッコいいな。向井理も少し黒い役を演るようになってから凄く良くなったと思う。
庵野監督やクドカンが出てたのはちょっと嬉しかった。
公開に合わせて(公開当日夜で良かったのか?)『イチケイのカラスドラマスペシャル』を放送していたが、主役二人よりも小日向文世と中村梅雀の比重が高く、黒木華にいたっては顔見せ程度であった。映画に小日向と梅雀の出番が少なかったのはそういうことなんだろう。一応映画へ繋げる内容であった。
本来入間みちおと坂間千鶴の掛け合いが魅力のひとつなので、それが観れなかったのは残念であった。
あとこちらに北村一輝が出てきたが、ここでも『ガリレオ 沈黙のパレード』を思い出し刑事役かと勘違いした。
月9ドラマの北川景子も絡めていた。フジらしい。このドラマもまんまと観てしまっているのだが。
タイトル『イチケイのカラス』とは。
「イチケイ」は、「武蔵野地方裁判所第1刑事部」の略称。
「カラス」は、恐らく日本神話に登場する八咫烏「ヤタガラス」のこと。
ドラマ内でカラスの絵が描かれた額縁が飾ってあるが、三本足だ。ヤタガラスの別名は「導きの神」。
裁判官は法の下、人々を正しい方へ導く役目があり、法服はカラスのように黑である。
「イチケイのカラスになれ坂間千鶴」人々を正しい方へ導ける裁判官になれという入間みちおのエールだ。
(text by 電気羊は夢を見た)
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