キャンプ場にて【ショートショート】
俺は真夏の特に暑い日に、キャンプ場で友達と怖い話をしていた。
どのくらい時間が経っただろうか。
5人目が話し始めると、突然、森から不気味な音が聞こえてきた。
俺達5人は、怖い話を止めた。
そして……怖いもの見たさで、音をたどって森に入っていったのだ。
音を頼りに森の中を進んで行く。
しばらく歩くと、少し開けた場所に出た。
と、当時に不気味な音も止んだ。
恐らくここになにかある。
だか、月が雲に隠れてよく見えない。
見えないのなら帰りたいところだが、薄暗くて帰り道もよくわからない。
困った5人は、そこで月が出るのを待った。
しばらくすると……雲に隠れていた月が顔を出し、辺りを少しだけ明るくする。
そこには……異様な光景が広がっていた。
沢山の人形が、無造作に置かれていたのだ。
しかも、全ての人形がこちらを見ている。
月に照らされた人形の瞳は、まるで生きているかのように光っていた。
風で草木が揺れると、まるで人形が動いているように見える。
怖くなった俺たちは、慌ててそこから逃げ出した!
暗い森の道を、記憶だけを頼りに走り抜ける。
はぐれないように、ときおり声を掛け合いながら、全力で走っていく。
そしてキャンプ場に着くと、隠れるようにテントに滑り込んだ。
不気味すぎる出来事に、誰も喋ろうとしない。
いや、何が起こったのかさえよく分かっていなかった。
ただ、不気味で、怖かったのだ。
そして4人は、無言のまま眠りについた。
翌朝、改めて人形のあった場所に行くことにした。
昨日見たものが何なのか、確かめたかったからだ。
ところが……いくら探しても人形のいた場所は見つからなかった。
夜道だったからなのか。
それとも、そんな場所はなかったのか。
だが、確かに俺たちは人形が無造作に置かれた場所を見た。
仲間と一緒に、はっきりと見たのだ。
5人で!
……あれ?
〈了〉
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