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1分23秒でハンバーガーを

考え事をしていた。

シャカシャカと歯磨きをしながら、座椅子に座ってぼーっと。

1分23秒で温めるハンバーガーの話を考えていた。

なぜ、1分23秒なのか。
123だから?

シャカシャカシャカ。

いや、そもそもハンバーガーを温めるのはなぜだろう。
ハンバーガーは普通のやつか?

違う、温めるならコンビニの商品だ。

シャカシャカシャカ。

ということは……チーズバーガーかもしれない。
ナンにチキンを挟んだ、ナンバーガーかも?

いやいや、それだとハンバーガーじゃないな。
ナンバーガー?
ナンだけに?

シャカシャカシャカ。

くだらん。

そう言えば、どんなシチュエーションでハンバーガーを温めているんだろう。

お昼時?
夕飯時?
おやつかもしれないな。

ふむ、難しいな。
物語にすれば面白そうだが……。

シャカシャカシャカ。

1分23秒。

この絶妙な時間が面白いんだよな。

レンジを開けて、ハンバーガーを入れて、1分23秒。
うん、面白い。

シャカシャカ。

「クスクス」


誰かが笑っている?
ハンバーガーか!?

シャカシャカシャカ。

「パパ、ずーっとおなじ格好で歯を磨いてるけど、何考えてるの?」 

シャカシャカシャカ。

返事をしようと思い、口を動かした。

ゲフっ!
ゴクン……。

歯磨き粉を飲んでしまった。

「……いや……なに……」
「もしかして、考えてなかった?」
「ん……ゴブ!」
「ゴブ?」

慌てて洗面所に行き、口をゆすぐ。
歯磨き粉が喉に絡んで気持ち悪い。

それでも返事をする。

「1分23秒のことを考えてたんだ」

……返事がない。
リビングに戻ると、娘は居なかった。

「ハンバーガーがな……」

誰もいないリビングで、1人つぶやく。

「1分23秒でハンバーガーを温めるんだ……」

だから何だ。
ハンバーガーを1分23秒で温めて、それで?

俺は1分23秒のハンバーガーを諦めた。

〈了〉

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