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障害者もお寺に来て! 曹洞宗

※文化時報2021年6月10日号の掲載記事です。

 曹洞宗人権擁護推進本部は、障害者理解に向けた啓発活動の一環として「みんなお寺に来てほしい」と題したポスター約1万5千枚とステッカーを作製した。全国の曹洞宗寺院に配布する。3日には東京都八王子市の大泉寺(久保井賢丈住職)で僧侶と障害者が共にポスターを掲示する啓発イベントが行われた。

 曹洞宗は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)=用語解説=に積極的に取り組み、「誰一人取り残さない」との理念に共鳴。障害者理解への取り組みを進めている。

 昨年の障害者白書によると、国民の7.6%に何らかの障害があるとされる。5月28日には障害者への「合理的配慮」を全事業者に義務付ける改正障害者差別解消法が成立し、寺院も意識改革が迫られている。

 これまでも障害者からは、「石段や堂内の段差があって、車いすで動けない」との声が上がる一方、寺院側からは「観光寺院ではなく、バリアフリー化の余裕がない」との意見もあった。

 こうした状況を踏まえ、寺院と障害者が相互理解を深めるべく、共に行動しようとの願いで、啓発イベントの実施にこぎ着けた。

 イベントでは、久保井住職が車いす利用者の新井寛氏、精神障害当事者会ポルケ代表の山田悠平氏を大泉寺に招いて、檀家らを前に対話。新井氏は「障害を一緒に考えてくれるお寺であってほしい。受け入れてくれる気持ちが分かれば何とかなる」と呼び掛け、山田氏は「温かさを感じられれば来やすくなる。人と人がつながっている感覚が大切」と話した。

曹洞人権擁護1

曹洞宗が作製したステッカー

 久保井住職は「障害者の方には、思ったことは何でも言ってほしい。われわれも先入観を持たず耳を傾ける。このポスターは寺院名を自筆で記入するが、その時に責任と覚悟を持って当たることが重要」と語った。

 実際にバリアフリー設備が整っていなくても、近隣で障害者が利用できる施設を把握しておくことや、福祉・医療機関に連絡できる環境づくりが大切との意見が出た。また、寺院側には「障害者」と捉えずに「助けを求めている一人の人間」として迎える姿勢が重要との考えも示された。

 イベントの様子は動画撮影されており、曹洞宗ホームページ「曹洞禅ネット」の寺院向けサイトで配信される。曹洞宗人権擁護推進本部の担当者は「できない理由を探すよりも、まずできることから始めてほしい」と話している。
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【用語解説】持続可能な開発目標(SDGs)
 2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。15年に国連本部で開かれた「国連持続可能な開発サミット」で採択された。17の目標と169の達成基準からなり、誰一人取り残さないことを誓っている。

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