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生き残り競争から、残らせ協奏・生き残る共創へ/神保町エレジー



山手線内側の物価は高い

昼食850円


缶コーヒー4本 480円の箱ひとつ

一日2000円超出ていた


青い梅をよこめに  立って川をわたり、三わの鷹くぐり 新しい宿でいきをつく

四つの谷をこえた神さまの田んぼが職場だ


神を保つ町

神が保つ街




東へ東へ

西の山から 山手線の内側へ

山手線のど真ん中を越えて東の端まで



週2回は同僚への労いと親睦

勤続30年ともなれば4桁で収めるのは野暮というものだ

野暮でも何ら構わないのだが 終業後ぐらい粋でいたいのだ


自宅仕事で出るカネは減り 行き先が変わる

一日480円のタバコ代出動は変わらないが行き先が異なる



街は姿を変えた


逃げ恥、舟を編む、CMで多くの目に触れた古き良き居酒屋酔の助が閉じた

街の顔でもあった餃子の銘店、洋食屋も閉じた

集客の影響だけではなく老朽化も重なる

すずらん通りほど近くに昨年開業したばかりの名のあるチェーン店は見切り早かった

そのうち と思っていた矢先がらんどうに

シャッターと化した店は指の数を優に超えた


数多くの知った店、馴染み、店主と言葉交わすいくつかの店

神を保つ町は一時期 1割に満たないまで人出が減っていた


自分1人などほんの微々たる存在だが 8割似た行動を採れば店は大ごとである



就業人口を見込んだ様々な業態・経済活動

夜呑みが職場付近というのは万一を考え避けたくもなる



酒肴を生業とする店は苦しかろう

地下に構えた酒肴の店は苦しかろう

路上販売よろしく 仕入れた鮮魚を店先で案内する新しい生活様式も誕生した

ランチ後の時間帯に通りで始まる 呼び込み声は街にまだ似合わない


カウンター7席の天丼の銘店

通って30年を超える

椅子の数7に対して 道路の並びは10人を下らない

要するに2回りを待つ者だけが並ぶのだ


目の前で熱々に躍る熟練の油は少々の難敵でも浄化する安心感を持つ

やけど傷だらけ 店主の肘から先がこれまた頼もしい


ここは影響を感じない

こういう店もある

並びがゆるまり、ありがたいぐらいだ

この店では誰もが夢中で天丼をかき込み スマホ片手の食事を見たことがない


週一出社も経験した

馴染みのたばこ屋さんに日課の480円を置く

たかだか1割の取り分だとしても ちりつも である

外出機会は激減し動線は変わった

新しい店との出会いもあるのだろう


どのお店を利用するか これまで以上に影響が大きくなっていることへの自認

自宅仕事の数少ない欠点  一つはここだ



社会人5年生ごろ 生き残り競争に巻き込まれていると実感した

残らせる、生き残させる側にも いつの間にか立っていた とあらためて思う


だから自宅仕事の前には馴染みのたばこ屋さんでカートンを買い上げる

自宅前のコンビニには何の思い入れもない



生き残りを競い争うのは野暮だ


残り合うために協奏したり、残るよう共創する そういう時間を粋に過ごしていきたいものである







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