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悩んでいる僕たちを救う、何でもない会話について

 悩んでる時は、悩みを解決するアドバイスを求めたり、元気が出る出来事やひとことを求めるけれど、意外と僕らを救うのは何でもない雑談だと思っている。

 年に一度くらい、地元の幼馴染3人と一緒に飲みに行く。会うたびにみんなそれぞれ色々な悩みを抱えているなあと思う。ただ会話が毎回それていって雑談になっていく。
 僕「実は僕こないだ離婚してそのあと死にかけてさ~」
 完全に禿げた友人「おいおいマジかよ!?ちょっと待ってくれよ!?」
 店員さん「パフェお持ちしました~」
 ぽっちゃり友人「あ、僕です!僕!」
 僕「いや飲み屋で最初にパフェ!?相変わらずだな~。うまそう!ちょっとちょうだいよ!」
 完全に禿げた友人「え、俺もちょうだい!パフェひさびさだわ!」
 割と真面目な友人「いやいや、ブンチョウ、話気になるわ!?無事かよ!?」
 僕「パフェうま!パフェってさ、意外と食べる機会なくない?ファミレスいってもさ、デザートにしちゃ重くて頼み切れないんだよね」
 ぽっちゃり友人「僕はパフェ単品を食べに喫茶店に行くけどね」
 完全に禿げた友人「さすがだなおい、逆に大人っぽくてかっけえなそれ」
 僕「今度じゃあどっかみんなでパフェ食べにいこうよ」
 割と真面目な友人「いいね~。いやいや、離婚の話気になるわ、話す気あんまないじゃん」
 僕「まあとりあえず生きててよかった、って話。みんなも無理しないでねって感じ。パフェうま!」
 完全に禿げた友人「いや俺もこないだ彼女に振られてさ~。」
 僕たち「え!?あの子別れたの!?禿げ隠してたのバレた!?」
 完全に禿げた友人「そうそう、ふろ上がりにバレてさ~」
 店員さん「厚切りハムカツです~」
 ぼっちゃり友人「僕です!」
 僕「うわ、ハムカツじゃん懐かし!醤油くれよ!え?お前ソース派?うそだろ!?」
・・・・こうやって大体3、4時間たって解散する。断片的に各々の悩み相談を何度かして、真面目に答えたりもするけれど、ほとんど雑談と笑いが入り混じってしまう。そして帰りの電車の中、ラインで優しいメッセージが飛び交う、「生きろ」とか「みんなでパフェ食べるまで死ぬなよ」とか。
 正直、友人たちと会って、なんの悩みも解決してないけれど、雑談と笑いで、悩みに集中していた頭がごちゃっとして視界が広がり、ニュートラルな感じになって元気になる。
 ああ、幸せってほんと大したことじゃないんだよなぁとか、みんな色々抱えているけれど、まあこうやってごちゃごちゃっと生きてるんだよなぁって思える。
 たまに思いつめたり、死にたくなったりするけれど、そういう時に必要なのは何かひとつの解決策なんかじゃなくて、意外とこういうなんでもない雑談だったり、パフェとかハムカツだったりするのかもしれない。それに人生ってほとんどがこんな意味のない日常でできてると思うし、そこに幸せがある気がする。「結婚」「出産」「出世」「一軒家」「成功」「海外旅行」色々な幸せっぽい単語があるけれど、僕はこんな「雑談」とか「ハムカツ」が幸せだったりします。
 みなさんも悩んだら友人と何でもない雑談をしてみたり、テレビやラジオでどうでもよい雑談を聞いてみてはいかがでしょうか。一人で喫茶店にパフェを食べに行くのもおすすめです、なかなかに優雅ですよ。

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