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大人の発達障がいについて ③

2018年10月7日の記事より

大人の発達障がいの診断後のサポートを受けるには?

さて、「あなたは、発達障がいです」という診断や、「発達障がいの傾向(疑い)があります」という診断をうけたとしましょう。

「やったーーすっきりした!」と思った方、「どうしよう。これからどう生きていけばよいのだろう?」と思った方。

もしくは、何も考えられないくらい混乱している方などなど。

個々の受け止め方により、診断を受けてからのスタートの仕方が違うのだと前回、少しお話をしました。

どの方にも共通して課題となるのは、診断内容を周囲の方へどう伝えるのか、また、自分には何かサポートを受けられるのだろうか?ということではないでしょうか?

今回は、周囲の人への「発達障がいの伝え方」と、「サポート」について見ていきたいと思います。

大人の発達障がいの特性の伝え方


発達障がいとは、生まれながらにして脳の発達に偏りがあり、その方が成長していく過程で、社会と関わっていくことに生きづらいと感じる状態の事をいいます。

主に

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder、以下ASD)

と、

注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder、以下ADHD)

があげられます。

一番最初に気をつないといけないのは、良く事情を知らないご家族や周囲の方に、いきなりご自分の障がい名を話してしまうことです。

いきなり言われた方は、びっくりしてしまい、すぐネットで発達障がいの事を検索してネガティブなイメージだけを先行させてしまうかもしれません。

まず最初にすべきことは、ご自分の特徴・・「苦手なこと」を具体的にリストアップすることです。

例えば、ASDの方だったら、「感覚過敏があり、ざわざわしている所が苦手」「耳からの情報だけだと理解しづらく、紙に書いたりしないとわからない」「周囲の環境や人が変わるのが苦手」など。

また、ADHDの方だったら、「一つの事(作業)に集中するのが苦手」「短期記憶が苦手で覚えてもすぐに忘れてしまう」「人の話を聞きとりその指示を忘れずに行動するのが苦手」「キレやすい」など。

ADSとADHDの方に共通する困りごとととしては、作業(仕事)の優先順位を自分で決めて効率よく完成させる事が難しい、1回に複数の作業(仕事)が出来ない。

また、人とのコミュニケーションのとり方が一方的になり、相手の言うことやその内容を正しく理解しづらいためお互いに誤解を招いてしまう...などがあるでしょう。

これは、例えなので、実際は個々により困りごとや異なるでしょう。

けれど、具体的に困っている特徴を周囲の方に伝えて解決策を一緒に考えてもらうというスタンスで相談してみるところから始めていくと、相談された相手も具体的な解決策を考えやすいです。

一緒に解決策を考えてくれて信頼できると思った方に、実は...と発達障がいのことを少しずつお話しして伝えていくという方が上手く伝わる可能性が高いです。

ちょっと時間はかかりますが、恋愛と一緒で、告白するには色々準備がいると考えてもらうと分かりやすいかもしれません。

大人の発達障がい、どんなサポートがあるの?


単純に「サポート」というとあいまいなので、ここでは発達障がいという診断をはっきり受けた方に限定せず、発達障がいも含めて精神の疾患としてメンタルクリニックにかかっているという前提でお話しします。こちらの項では、メンタルクリニックを中心としたサポートについて書きます。

1、医療費用のサポート

自立支援医療(医療証)の申請と医療費の助成。
かかっているメンタルクリニックの先生と相談し、「自立支援医療を受けるための診断書の作成」を依頼します。

作成してもらった「自立支援医療診断書」を、お住まいの市町村の市民センターや障がい福祉課などの担当課に申請書に添付して申請し審査につうかすると「自立支援医療証」が発行されます。

所得に応じて上限額が異なりますが通常の医療費の3割から1割の自己負担額に減額されます。

クリニックに通う頻度や服薬の状況にもよりますが経済的負担が少しでも減ると安心ではないでしょうか?

2、症状改善のサポート 

⑴、産業医さんとの連携

現在会社勤務されている方で、産業医さんが配置されている会社であれば、クリニックにそれまでかかってきた経緯やご本人の状態をクリニックの先生と相談して産業医に申し送りをしてもらうことができます。

会社の産業医とご本人の面談。産業医から上司や担当課の方に情報開示をして連携し、職場の環境設定や勤務形態などでサポートが可能かどうかなど調整します。

時短勤務や、所属課の変更、業務の内容の変更などが可能かもしれません。

⑵、その他、かかているクリニックに限定しないサポート

例;1. 定期的なカウンセラーさんとの面談
クリニックに専門のカウンセラーさんがいる場合そちらで、いない場合はカウンセリング専門のところなどを紹介してもらい、そこで定期的に相談することもご自分のことを受容しながら理解するのに有効なサポートとなるでしょう。

ただ、カウンセリングは完全に自費のところがほとんどなので、長期い期間になると経済的な負担が大きいので、それが可能な方に限るのがネックですね。

例;2、公の機関のケースワーカーさんへの相談(相談機関のサポート、地域活動支援、デイケアの参加。

診察する方が多いと、なかなか先生から具体的なサポートに行き着かないことも多いので、ここでは例だけあげました。

例;2について、クリニック以外の機関が主に関わるので次の項目でお話しします。

大人の発達障がい、サポートを受けるにはどうすればいいの?


現在、クリニックにはかかているものの、
就労も難しく日常生活自体ををうまく過ごせずご本人は頭を抱えてしまう状態、の方も多いかと思います。

ですが、サポートは必ずあります。もちろん個々の状況により必要なサポートは異なります。

ご家族の方の協力があれば、色々探す算段もたちやすいのですが、ご家族の協力が難しくご本人の状態も良くない時にはクリニック以外のサポートを日常生活で求めるには、ご本人には難しいかもしれません。

何かを考える自体も辛いかもしれませんが、一度、地域の広報誌を読んでみてください。

多分、よく見ると「暮らしの情報ガイド」のようなページの中に「健康・保健」コーナーに精神疾患の方のための集まりや講習会が書かれていませんか?

この講習会の主催がどこがやっているかを見ると、多分、保健所(保健予防課)か、障がい福祉課になっているかと思います。いわゆる公の機関です。

シンプルにどちらかに電話一本してみてください。名前と困っていることだけを伝えてほしいのです。この場合は診断名があれば、いきなり言ってもらってよいです。

担当のワーカーさんか、精神保健福祉士の方につないでくれます。そこから、必要な相談機関(お住まい担当の地域のケースワーカーさん)にもつながっていきます。

面談や相談していく中で、必要に応じてご自身に合ったクリニック以外の日中支援活動センターや、デイケアセンターなどにもつなげてくれます。

具体的にこうしたサポートを受けるには一度障がい福祉課や予防保健課等に来庁していたもらうか、ケースワーカーさんに自宅に訪問してもらうことになります。

時間はかかるかもしれませんが、一人で抱え込まないで一緒に考えてくれることでしょう。

公の機関を利用したいときには、声を出さないと動いてくれません。正確に言うと、動きようがないのです。個人の権利侵害になってしまうからです。

ちょっと、最初の電話には勇気がいるかもしれませんが、やる価値はあると思いますので、勇気を出してみてください。

まとめ


今回は、表題からだとシンプルに解決しそうですが、診断後のサポートは多岐に渡るので、もっと具体的なことは、別の機会にも書いていきたいと思います。

今回のポイントは、3つありました。

1.周囲にいる医療福祉関係ではない方には、いきなり発達障がいの診断名を伝えるのではなく具体的にご自分が困っている点をリストアップしてから先に伝えること。

2.公的な医療費の助成制度を活用し、クリニックから、ご本人と現在の職場に直接連携できるなら、うまく連携してもらい職場の環境設定をご本人に合うように調整してもらうこと。
カウンセリングが経済的に可能で、有効そうなら定期的に相談すること。

3.最後は、公の機関をうまく利用するために、ご自分が勇気をもって電話を一本かけてもらうこと。

3つ目が一番シンプルですが、利用するには敷居が高く感じるかもしれませんね。でも、今の制度の中で経済的にも負担が少なくサポートを受けるには有効かと思うので、ぜひトライしてみてください。

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