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わが家の猫生活【その六十二/夏の終わりに】

昨年に引き続きなかなか帰省できないため、実家の家族と顔を合わせて話す機会がない。しかしながら、そのぶん電話の回数は増えた。姉と話すのは大半が猫生活回想録で、どちらかが必ず「そういえばあのときモモちゃんが……」と言いはじめる。

モモちゃんと過ごした時間よりも、彼がいなくなってからの時間の方が長くなった。なのにいまだに会話に登場する。

夏が来れば思い出す、彼の行動歴。

家の中では板張りの部屋に移動してひんやり。外では木陰にどんどん移動してまたひんやり。夕暮れは裏にある六地蔵さんの上にのっかって寛ぎ、「そんなところにのって! バチが当たるよ、モモちゃん!!」と、よく母に叱られていた。落雷にびっくりして雨戸の戸袋に飛び乗ったはいいけれど、降りられなくなって涙目になっていたこともあった。

モモちゃんは、ご先祖さまや父にくっついてお盆に帰ってきただろうか。


夏の過ごし方は、だいたいどの猫さまも同じで、どこか涼しいところで腹をひんやりした地面にベッタリくっつけて寝ていた。

特にほとんどを室内で過ごしていたライちゃんは、裏山から入ってくる風が心地いいのか窓を開け放った板張りの居間で爆睡することが多かった。ただし皆に触られるのが嫌なので、少しずつ移動しながらではあったけれど。

私など帰省すると一日中猫三昧なので、さっきまで居間で寝ていたツンデレさまがいなくなっていると、「どこに行ったのかな」とつい探したくなる。猫生活あるある、だ。

さて、あちこち探しても見つからない。「もしかして外に出たのか?」と思ったが、勝手に戸をこじ開けた場合は引き戸に隙間ができていてすぐに分かるはずだ。

そしたら次の間で、こんな風にのびていた。何のポーズなんだよ、これ。

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完全にテーブルと同化していて気づかなかった。ちょっと変てこな寛ぎポーズだが、この上が冷たくてひんやり気持ちよかったのだろう。案の定、テーブルは毛だらけだ。

あの……、君、ここは主君の眠る座敷の隣。つまり従者が控える部屋ですよ。ぐうすか寝ている場合ではないよ。

「だって暑いんだもの」と言わんばかりのダレ具合が何とも言えず(笑)。触りたい衝動に駆られるのをどうにか我慢した記憶がある。画像が暗くて粗いのが残念だけど、この写真を久々に引っ張り出してきて、「夏、家の中で一番涼しい所は猫を探せばすぐ分かるっていつも思ってたなあ」と少々しんみり。今の自分の住まいでは猫と住めないので、触れる機会もない。たまに近所でキジ柄の猫を見ると、ついつい実家の猫と比べてはしゃぐのだった。少しずつ、季節が秋に近づいていく。(つづく)

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