わが家の猫生活【その三十七/突然走り出すツンデレ(猫)と、見えない何か】
久しぶりの猫生活振り返りになってしまった。
断然(?)影の薄いライちゃん(♀)は、呼んでもめったに鳴かないし、怒られても先住猫・モモちゃんのようにシュンとうな垂れることもない。モモちゃんがあまりにも人間っぽいので、「そうだ、猫だった、ライちゃんは」と何度も思い直す。
彼女はほぼ一日寝ている。しかしブクブク太っていくわりに、意外と飛んだり跳ねたりも。一日のある一定の時間だけ、お尻を振りながら何かに憑りつかれたように走りまわってドッタンバッタンする。朝、昼、晩、深夜、お構いなしだ。
「なんか獲物でも見つけたんか?」とみんなが注目するも、毎回特に何かを追っていたわけではないと知り、「一体猫は、どういう習性でこのドッタンバッタン走りをするのだろうか」と疑問に思う。
運動不足解消? 野生の名残?
いや、待てよ。もしかして、人間には見えない何かが見えているとか?
そういえば私が小学生の頃、遠方からわが家に霊媒師が泊まりがけで来たことがあった。昔から本家であるわが実家はそういった類には一切関わらない家なのだけれど、諸事情で親戚からどうしてもと言われて断ることができなかったのだ。
もっとも、子どもの私は1999年7月31日に人類が滅亡すると思っていたから、不思議なものには興味津々だった。
その日の夕方、親戚に連れられてその方がやって来た。仏壇のある座敷に入るなり、「こ、こんなところには10分とおられない!」と凄い剣幕で叫び、家を飛び出してしまった。何かが見えたのか? よくわからんけど。
「あんた、この座敷、なんか感じる?」と母。
「いや、なんも」と私。
しかしここから数日は、ひとりで座敷に入るのが怖かった。
結局、その方は近くの宿泊施設に泊まることに。少しでもわが家に居る時間を少なくしたかったらしい。そして夜、改めて家にやって来た。
話している過程で、その方が姓名判断もやっているという話に。子供だったので「え、じゃあ私の名前はー?」と無邪気に尋ねて、母親にすぐさまこっぴどく叱られた。
すると霊媒師が、私の名前を見てくれるという。
「あら、あんたの名前、強運だねえ」。
ほほう。
「だけど……社会運と家庭運が全く無いね」とバッサリ。
ちょっと、ちょっと、ちょっと。
社会運と家庭運が全く無いって、絶望なんですけど(笑)。
どこに強運が!? 強運、どこ行った???
数十年経って、奇しくも、そんな感じの人生歩んでるーーーー。
そんなわけで、家の中でライちゃんが獲物を追いかけるように突然走りだしたり、特定の位置をずっと気にしたりするのを見かけると、単なる運動不足か野生の名残か?と思いながらも、ふと「うちには何か人間に見えないものが彷徨っているのか……」とも思ってしまうのだった。
走っても走っても、ふくよかになり続けたライちゃんは、体重マックス7キロほどにまでなった。寝転がったら、つきたての餅だよ、餅。ビローン、ビローーーーン。(つづく)