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わが家の猫生活【その三十四/人も猫も老いていく】

若い頃は6キロ近くまで太ったモモちゃん。肉の塊のような後ろの腿を見ながら「わー、すごい肉!! もも焼きにできそう……」(もちろん冗談です)「いや、これ焼いても脂しか出て来んのじゃないの? 不味いんじゃないの?」などと、よくみんな笑ったものだ(もちろん冗談です)。

それが10歳過ぎたあたりから痩せてきて、ダラーンと肉と皮が垂れさがって中身が無いような感じになってきた。少しずつ毛の艶がなくなり、髭がしんなり。口臭や目ヤニが出はじめた。

モモちゃん、お爺ちゃんになりかけだもんね。
帰省するたびにそう思った。


遠い記憶の田舎でのこと、当時の「猫を飼う」という感覚は、現代のそれとはずいぶん違う。特に田舎では、猫を飼う=猫まんまをあげる&出入り自由が当たり前な時代。野良猫と飼い猫の境界線が、大してくっきり分かれていない家も多々あった。

近所の猫同士のケンカ(猫パンチの応酬)は、「じゃりん子チエ」の小鉄を思い浮かべちゃうぐらいの凄まじさがあったことも。モモちゃんも親分と呼ばれるようになった頃には、キズが原因で額に膿がたまって切開したり、尻尾に噛みつかれて血がダボダボ出ているのにブンブン振りながら帰ってきたりと……、すぐさま病院送りになるケガをしたことがたびたびあった。

モ、モモちゃんどうした!?そのキズ!!!!!

と何度大騒ぎしただろうか。

そんな目に遭っても、翌日にはまた尻尾をピンと上げて出かけてしまう。本能なんだろうか。飼いはじめたときから「本人(猫)の好きなように」という方針だったこともあり、何かあったら病院へ連れて行くが、あとは見守るだけ、というスタンスで飼っていた。

そのため、食べたいものを食べることが多かった。食べたらダメと言われている甲殻類を筆頭に(その話は関連記事として下に置いておきます)、アイスクリームやそうめん、チーズ、納豆まで、とにかくモモちゃんはいろいろな食べものに興味を示した。一方で、彼の体をいつも舐めまくっていた2番目先住ツンデレ猫・ライちゃんは、それらにまったく興味を示さなかった。ほんと、猫って不思議☆

お世話になっている獣医さんからは、「腎臓が弱くなると、食べなくなります。そのときは必ず病院へ連れてきてください」と連れて行くたびに言われていた。そのため、モモちゃんの健康のバロメーターは主に「食欲」だった。

老化現象はお構いなしで、毎日縄張りパトロールは欠かさず。家に帰ってきたら、ワシワシとすごい勢いでがっついてごはんを食べた。この頃、ひとつ家族が後悔していたことがある。それは、子どもの頃から歯を気にかけてやればよかったということ。モモちゃんは、歯が抜けるのが早かったのだ。

まあ、お爺ちゃんっぽくなったしケガも時々しちゃうけど、食欲はめちゃくちゃあるのね、君。

そうやって話しかけて目と目が合うと、「ん? まだ何かくれるの? カリカリ? 缶詰? もしかして、魚ーーー????」と瞳で訊いてきてくる(たぶん)。面白いなーモモちゃんは……と、幸せの余韻。

いつまでもこんな日が、ずっと続くと思いたかった。(つづく)

53老いのモモ


モモちゃんの好物についてはこちら。


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