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わが家の猫生活【その六十四/猫さまの冬支度は湯たんぽから】

山奥では、夏の終わりでも夜はずいぶん肌寒くなる。そういえば、集中豪雨で仕事先から帰れずに、高速のパーキングに駐車してひと晩過ごしたことがある。あれは7月だったが、叩きつける大雨の中で深夜になるととても寒く、何ヵ月も車内に放置していたブランケットをひっ被って、ガタガタ震えながら夜が明けるのを待ったっけ。まさか、その数年後に地震で車中泊を余儀なくされるとは思いもよらなかったなあ。

先住猫のライちゃんと折り合いが悪いため、夜は倉庫の猫ハウスで眠っていたキョンちゃんとハナちゃん。寒くなると、毎晩母がちょうどいい湯加減で湯たんぽをこしらえて入れていた。私も冷え性なので、帰省したときは猫さま用と私用の2つを用意してもらっていた。

低温やけどしないようにタオルで包み、それをさらに幾重にもなったタオルケットや毛布の下に入れる。あまり仲良しとは言えない母娘の力関係は、わが家にやってきた頃から変わらず、 キョンちゃん(母) >>> ハナちゃん(娘) のまま。当然、湯たんぽもキョンちゃんが先にデーンと上に乗っかり、ハナちゃんは隅っこに追いやられる。

「やっぱりキョンちゃんはずる賢いから長生きする」と、また根拠のないことを姉が言う。

それでも、互いの体をくっつけて気持ち良さそうに寝ている様子に安堵する。と同時に、「あーあー、ライちゃんが仲良くしくれたら、みんなストーブの前で寝られるのに。こたつも占領して寝られるのに」とため息をつくのだった。

先住猫とうまくいくかどうか。なかなか難しい問題だ。一緒に暮らしてみないとわからないから。わが家も、最初の頃は「慣れたらどうにかなるんじゃないの?」と軽く考えていたようだが、何年経ってもどうにもならなかった。雌同士何か敵対心があったのか、ただの性格の不一致だったのか。三者(猫)三様、程よく距離を置いて過ごすマイペースな3匹だ。

まるで女王さまのツンデレ・ライちゃんは、寒くなると夜は家族のベッドを行ったり来たり。7キロ近くある大きな体で布団にもぐりこんで、人の足に寄りかかって寝るもんだから、人間の方は重くて仕方ない。けれど、これがめちゃめちゃ温かい。湯たんぽならぬ、”猫たんぽ”である。冬になれば毛も長く、ふさふさだ。

「ライちゃんは、毎日喰っちゃ寝、喰っちゃ寝で何もしないけど、冬はあったかいよね~」と姉。そもそも、3匹とも存在自体が幸せの塊みたいなもんじゃんね。ただ、トイレに行った後すぐに布団にもぐりこまれると、ウ〇チをつけられるという災難も稀にあるけどね……。(つづく)

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