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私たちは何も捨てない


冷たい蛍光灯からあったかい電球色に変えた

「こっちの方がいいね」とにやっと笑った男はもうここに来ない

答えは無くても
手のひらから、背中から、声から、目尻から
全部伝わってくる

何が言いたくて
何を言いたくないのか

強く押し合うそれぞれの肌
いつしかひとつになれた気でいた

いつかひとつになれると思っていたから

あったかく灯ったオレンジも消して
冷たい手で私の目を覆い真っ暗の世界へ引き摺り下ろす

「こっちの方がもっといいね」って

見なくてもわかる
何も捨てようとしない男の顔

きっと寂しそうに笑ってるだろう

何が本当の気持ちか自分でもわからずに



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