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モロッコ巡行記⑤@マラケシュ/リヤド・ハマム体験/マジョレル庭園

頭を空っぽにすることの大切さを一つ。

いよいよレッドシティ・マラケシュへ。今まで訪れた街の中で一番の賑わいを見せていました。空気もなんだか煙たい。それもそのはず、マラケシュは起伏の少ない土地のため、メディナ内の細い路地でもバイクがじゃんじゃん通ります。
様々なスークを抜けた先、視界が開けたところにジャマ・エル・フナ広場があります。かつては公開処刑場であったこの場所は、屋台だけでなく大道芸など見世物が今でも行われています。

しかし、そんな喧騒も一歩道を入るだけでパタリと止むのが不思議。さらに扉の奥、屋内に入るとより静けさが増します。

今回マラケシュで宿泊したのは、リヤド・ナシラ・スパ。

リヤドとは中庭(噴水やプールがある)を持つ邸宅のこと。モロッコでは、このリヤドをリノベして宿泊施設やレストランにしているところが無数にあります。こちらのリヤドはかなり新しくて清潔で、赤土の外観からは想像のつかない白とグリーンの空間が広がります。これは、イスラム教の「プライベートを守る」という教えに基づく建築様式です。外から中を伺い知れる、例えば窓も、あっても小窓程度で、非常に高い位置に備え付けられています。イスラムの女性が顔に巻くヒジャーブも同じ教えのもとにあります。リヤドはまるで、内なる魅力を持つイスラムの女性そのもののように感じました。

こちらのリヤドには、地下にハマムがありました。ハマムとは、岩盤浴場のような施設で、本来は礼拝前に身体を清めるために利用します。そのため、街中にはモスクの近くに日本の銭湯のような感覚でハマムが存在します。こちらのスパは個室になっており、腕利きのおばさまに身を委ねるだけでOK。まずはお湯を浴びてから全身に泥パックのようなものを塗布されました。そのままおそらく15〜20分ほど、岩盤のベッドに寝そべります。このぼぅっと頭を空っぽにできる時こそ至福を感じます。その後ミトンのようなもので垢を擦られました。垢すりは初めてだったのでちょっと痛い……しかしボロボロと生成されていく垢を見て、意外と溜まってたんだなぁ、と、色んな意味で感じました。それからまた10分ほどおき、髪も含めまるで犬のようにワシャワシャと洗われ、オイルを塗って完成です。特に髪に塗られたオイルの効力が高く、その後数日間、アルガンかココナッツのような良い匂いが私の髪から漂っていました。

旧市街を後にし、新市街へ。代表的な観光名所として、マジョレル庭園及びイヴ・サンローラン美術館があります。ベルベル人の歴史を知ることができる博物館と併せてひとり4,800円。事前に時間指定をしていても列をなすほど人気のスポットです。(ちなみに物価は、円安の煽りを受けているにもかかわらず、日本と同じくらいでした…!)
マジョレル庭園は、20世紀初頭にフランス人の芸術家・マジョレルが、多肉植物をはじめとする多様な植物を採取してきて造り上げた庭です。それに魅力されたイヴ・サンローランが、後に別荘として買い取りました。イヴ・サンローランがドレスやアクセサリーにふんだんに取り入れたオリエンタルな草花のデザインは、この庭からかなり影響を受けているようでした。
イヴ・サンローランも、きっとこの美しい庭園を前にして頭を空っぽにしたことでしょう。そんな時ほど、意外とアイディアは湧いてきたりするのかもしれません。

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