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造語の危険性


俺ジナル、的な言葉というものを作りたくなる時期がある。
然し、そのようなものは必要はない。何故ならば、例えば辞書を紐解いて見れば、一個人では把握できないほどの言葉が存在し、それは、数十の言語、数百数千の歴史に埋もれた言語の数だけ満ちていて、それで事足りるからだ。
要は、言葉というのは使い方であって、どの言葉とどの言葉を出会わせるかであって、本質を射る言葉を使えばいいだけなのである。

『ファイナルファンタジー13』という、珍作が存在する。
2009年12月に発売されたPS3用のソフトで、その後続編が2本発売された。

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今作は2006年5月頃に、正式発表された。その際に、同時に発表されたのが、『ヴェルサス/ファイナルファンタジー13』、『ファイナルファンタジーアギト13』である。私は、理解の範疇を超えていると思った。2000年1月、同様に、『ファイナルファンタジー9』、『ファイナルファンタジー10』、『ファイナルファンタジー11』の3本同時発表という衝撃もあったが、そのときはそれぞれが独立した作品であった。

然し、『FF13』の名を冠したこの3本は、ファブラノヴァクリスタリスという神話をベースにした、繋がりのある作品群だという。
まぁ、少し違うけれど、要はMCU的な感じ、だと今ならば理解している。
然し、『ヴェルサス』は結句、発表から10年の時を経て、『FF15』としてこの世に生まれ落ちて、消えてしまったのである…。

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話を戻すと、『FF』シリーズは、それぞれ魅力的な世界観や設定が売りの訳だが、『13』はやりすぎてしまったのである。
今作だけは、他の作品の中でも群を抜いて、造語のセンスがない(他の作品も大概造語だらけではあるが)。

ネットでもバカにされているが、ファルシのルシがパージされてコクーン的な、よく意味がわからない言葉の羅列は、ユーザーを困惑させてしまった。
これは、非常に難しい問題で、『FF7』なども、ソルジャー、魔晄炉、マテリア、神羅カンパニーなど、造語は大量に存在する。『FF8』もガーデン、SEED、魔女など、様々な言葉が存在するが、『FF13』は、そのハードルを上げすぎてしまったのである。

別に、意味がわかれば難しい話ではなく、導入部も『FF7』同様で、始まってしまえば物語は追ってはいける。
然し、造語というのは、ある程度、連想がつく言葉を使うべきなのである。
若しくは、1つに留める。

例えば、20097年、ローパルンスのキャスカーである主人公橘賢治は、枢機卿の企みを食い止めるため、単身、イロンダーの中枢であるミジターへ潜入するが、敵に見つかり追い詰められる。寸でのところで自身の持つカールゾの力を開放し……というストーリーを、誰が理解できるだろうか。
造語は多いと、バカっぽくなってしまうのである……。
そして、川端康成も、誰にでもわかるような言葉で書け、谷崎潤一郎も、平易な言葉を使え、と半世紀も前から口を酸っぱくして言っているのである……。

この他にも、意味不明だったり、少し恥ずかしいネーミングだったりが入り乱れて、それがノイズになってしまっているのである。
なぜ、こんなことになってしまうのか。
誰も、おかしいと思わなかったのか。

然し、『FF15』でも、作中の食べ物の画像のクオリティ(おにぎり)とかに必死で凝ったりと、変な所で迷走している。
私には、その理由がわからないが、然し、『FF7』は間違いなく面白く、その世界観の説明や厨二臭さも、いい塩梅なのだが、今作は明らかにそれが上滑りしている。

本質が重要なのだが、枝葉にこだわりだすと、碌なことにならない。
まずは、造語が多すぎて、ユーザーに伝わらないのでは……ということを、もう少し話すべきであるかと思う。
巨大プロジェクトは、動き出すと止まらない。FFは200人300人、それ以上のスタッフが関わる巨大プロジェクトで、数百万の世界ユーザーを相手にしている。それならば、より一層にわかりやすい言葉、というのが必要なのであろう。

と、つらつらと私見を述べたが、そもそも『FF13』の物語には、面白みは全く無い。それは、普遍的な感情の欠如がもたらす、脚本上の欠陥があるからだろうが、そこに、意味不明の言葉が並び、完全に瓦解してしまっている。

然し、音楽、映像、バトルシステムは素晴らしいのだけは付け加えておく。
色彩も、ホワイトやグリーン、淡い色味が多く、カラー・デザインも良い。

私は、今は『FF16』を楽しみにしている。当然、PS5と合わせて購入させて頂く予定である。
『FF15』は紛うことなきクソゲーだったが、まだ希望は残されている。

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