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ハリウッド映画のパラサイト・イヴと、その安い続編感のたまらないパラサイト・イヴ2

『パラサイト・イヴ』は1998年3月に発売された。
『パラサイト・イヴ2』は1999年12月に発売された。


私は、この2本のPEが大好きで、けれども、申し訳ないが、『サードバースディ』はプレイしていない。
『パラサイト・イヴ』は制作費1億ドルのハリウッド超大作のブロックバスター、『パラサイト・イヴ2』は制作費3000万ドルの二軍だけどそこそこ予算かけた映画、的な印象が私にはある。

元々、瀬名秀明氏の小説『パラサイト・イヴ』が原作である。


当初は日本を舞台に制作する予定だったが、アメリカのNYを舞台に制作された。海外スタッフも多く参加し、それはハリウッドのCGデザイナーも多数いた。この流れからハワイ・ホノルルスタジオでの『FFⅨ』の制作へシームレスに移行し、合わせて166億円の制作費をかけた映画『FF』も同時に制作をしているが、これは大コケした。

『パラサイト・イヴ』は主人公の刑事アヤ・ブレアを動かすシネマティックRPGというよくわからないジャンルの作品ではあるが、当時よくゲーム雑誌で使用されていた『美麗』という言葉をふんだんに使えるような、気合の入ったCGが一番の売りの作品である。



主人公アヤ・ブレアは歩くスピードが激烈に遅いため、プレイ時に多大なストレスを感じ、忍耐を要するが、然し、グラフィックの美しさ、雰囲気はたまらないものがある。今でもそう思う。このゲームの独自性は世界観の良さである。

冒頭、カーネギーホールのオペラのシーンから始まるのだが、この導入部がたまらなくいいし、なんというか、若干のダリオ・アルジェント味がある。そのようなカラーコーディネートされた画面である。のっけから人体が発火する。それは、体内のミトコンドリアが目覚めたオペラ歌手のメリッサ・ピアスの念能力によるものだが、そこで黒焦げ死体の合間を縫って、アヤ・ブレアの旅はスタートする。
下村陽子氏の音楽が最高すぎる(この、最高すぎる、という表現を私は嫌っているが、とても使いやすいので、最高すぎる)。バトルのBGMが猛烈にカッコいいので、私は現在もサントラを車に常備している。

『パラサイト・イヴ2』はほぼ100万本売れたから作られたが、スクウェアの大阪の制作だという。この頃、スクウェアでは100万本売れないと続編を作れないという、完全に常軌を逸した(まぁ、そのような時代だったのだ)ハードルがあり、ゼノギアスも約90万本でスクウェアでは作られなかった。
『パラサイト・イブ2』は完全に『バイオハザード』風味のゲーム性にシフトしており、前作よりは足が速くなったものの、相変わらず他のゲームと比べると遅すぎる脚力でイラつきはしたものの、ゲーム性はより一般化している。私はゲームとしては2の方が好きで、これはやりまくった。
前作が冬のNYだったが、今作はロサンゼルスに移る。このわかりやすさである。続編は舞台を変えなければならない。ニューヨークの次はロサンゼルス、当然である。東京の次は大阪、乃至は福岡である。そして、ロサンゼルスからネバダ州へと舞台は即移る。


今作の舞台は、基本的には廃村寸前のドライフィールドというモーテルを中心とした集落と、『バイオハザード』風の敵の作った気持ち悪すぎる楽園シャンバラである。この辺りも、完全に90年代のB級映画的な設定や舞台立てのそれであり、もう画面の安さがそうである。だが、それがたまらなくいいのである。

2の方が1よりも怖い。1は、舞台はニューヨークなのに日本的な湿り気のあるホラーの匂いがある。2は、完全に顔芸の怖さで攻めている。クリーチャーの顔が怖いのと、声とかが怖いのである。
そして、2を完全にB級的映画にさせているのは、エンディングテーマである。このテーマ曲は、しっとりとした感じの曲で私は大変に好きなのだが、これは昼間にやっている映画とか、レンタルで見た映画でかかりそうな、ちょうど良い感じの曲調で、なんか、結構面白い映画を観たなぁ、と、次の日には忘れていそうな、そのような感じである。
2は、全体的に一事が万事そのようなクオリティであり、名監督の1のあと、売れたから作ることになり、新人やそこそこの手堅い作品作りに定評のある職人監督が作るのと似ている。

然し、どちらもゲームとして名作であり、間違いなく、折に触れて思い出す、そのような作品である。

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