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香水夫人と大阪圭吉

大阪圭吉という作家がいた。推理小説家である。と、偉そうに書き出しておいて、本当は私は詳しくない。あまり推理小説は好きではないのである。

何故この作家さんを識ったのか、それは彼の本がウルトラにお高いからである。私は高い本がだ~いすきなのだ。

大阪圭吉は1945年に33歳で亡くなった。再評価もされていて、現在でもファンが多い。そんな彼の作品に、『香水夫人』なる本がある。これは、世にもウルトラに珍しい、市場にほぼ出ない稀覯本で、諭吉が50人とか100人とか、それくらいは必要である。なんといっても、世に数冊しか現存本がないのである(画像はネットで調べると数点だけ出てくる)。

こういう稀覯本を蒐めている人は、本当に狩人である。

彼らは、年間予算を、例えば諭吉20人とか30人とかで組み立てているとして、その人なりの趣味嗜好で蒐めているターゲットをちょくちょく購入する。そして、ああ、これいいなぁ。でも10,000円もするなぁ、でも欲しいなぁと買ってしまったのが運の尽き、お目当ての100,000円クラスの稀覯本がどどどんと現れたりしちゃった日には、買うか買うまいか、うううううむと悩む。こうして悩んでいる間に、誰か、他の人が買っちゃうかも……(なーんて、誰も興味なし)。どないしよ、どないしよ。ええい、ままよ!金策は買ってからじゃあ!と買うわけだが、なななんと、更にウルトラな稀覯本が現れて、資金が底をついたと指を咥えて見ているしかないのだった……、ちゃんちゃんってなもんよって感じ、何が、どのタイミングで、どれくらいの価格で登場するか、そして、再び現世で相見えることが出来るのかと、様々なことを勘案し、資金繰りに悩む。
まぁ、どの業界も蒐集家はそのような悩みが尽きないだろうが。

『香水夫人』は満州の日本人向けに発行されていたものだそうで、元々数が少ないのである。その数少ない中の生き残りだそうで、非常にお高い。
100万円くらいする本だなんて、本に興味のない人には信じられないかもしれないが、何故だろうか、この本は美しいので100万円くらいしてもおかしくない(と私は思う)。ちなみに、まんだらけでも買取価格が30万円である。

でも、最近は文庫などでも読める大阪圭吉作品は多いので、まずは皆様、文庫でお安く読んで、それから『香水夫人』購入に挑戦しよう!


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