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私の本棚

特別大好きな作家、稲垣足穂の本を集めている。
最終的には、稲垣足穂以外の本は必要ない。

稲垣足穂は本が多いため、全て集めるのは不可能だ。いや、金さえあれば可能だろうが、最難関は13部限定の芸術家の中村宏氏との共作『イカロス』で、これは本というよりアートなので(なにせ、銅製の20キロの本である)、100万円くらいするのである。

まずはこの4つ、初期タルホの金星堂三部作『一千一秒物語』、『星を賣る店』、『第三半球物語』に春陽堂の『天體嗜好症』を加えた初版本たち。皆、100年前の本である。
この4冊は魔導の本であり、この4冊で私の持つカバーありは金星堂の『第三半球物語』のみである。なので、4冊全てにお洋服(カバーや箱)を着せてあげたい次第。この4冊はカバー付きが市場に出るのは極めて稀である。

魔術的4冊。

ちなみに、この『一千一秒物語』は初版ではない。1923年に発売された初版ではなく、1926年に発売された第六版なのだが、この第六版だけ、異装版であり、初版よりもレアなので、『一千一秒物語』はこの六版で充分である。

  第六版は星が散らばるデザイン。初版は太陽のどアップ。(あれは月や幻燈のように見えるが、本当は太陽だとタルホはいう)

それから、カバー付きの『第三半球物語』。
このカバー付は超絶レアである。感覚的には、多分十数冊くらいしか現存しないのではないか。

『第三半球物語』の初版本。タイトルはロード・ダンセイニ卿作品から取られているが、タルホ的には失敗作だと見なしている。ちなみに、このカバーは著者の自装である。

そして、三島由紀夫旧蔵の徳間書店版『少年愛の美学』。
三島由紀夫の持っていたタルホ本なので、個人的に最重要の一冊。

三島由紀夫懇意の古書店で入手。三島由紀夫の持つ『少年愛の美学』、というのが重要。

それから、これはタルホではないが、タルホの愛する文学2作、一つはヴェデキントの『春のめざめ』、もう一つはトマス・ド・クインシーの『阿片常用者の告白』である。
『春のめざめ』はタルホが読んだであろう、大正時代刊行の版で、翻訳者の献呈署名本である。




そして、私は全集13冊はもちろん所有しているが、やはりウルトラに欲しかった本があり、それがついに念願叶って手に入ったのである。本来は箱に入れてしまってあるが、今回は並べてみた。それが『稲垣足穂大全』の限定75部特装版である。ああ、夢にまでみた特装版大全!


全6冊。著者の選集であるが、ヴァリアントの多いタルホ本としては定本ではない。ちなみに月光発狂者である私は、『天体嗜好症』初版を4冊所有している。
本当はこんな感じで、中央の夫婦函に入り、そこからさらに外函に収まる。
月報も、御礼の手紙も、タルホ自筆御礼短冊もついた完本中の完本。
1巻にはタルホの手書きクレヨンのお月さまと、イソギンチャクスタンプの捺印。
総革装で、天紫。天を菫色に染める、タルホらしき夏至の香り、まさに『六月の夜の都会の空』。

私が欲しいタルホ本はあとは、『ヰタ・マキニカリス』の初版本と特装版、それからタルホ装丁の2冊、それくらいだろうか。まぁ、ゆっくり蒐集を続けようと思っている。
とりあえず1番大切なのは、稲垣足穂大全特装版である。この本を開いてちまちま読むのが最高に幸福。

タルホ本はまだまだあるが、やはり初期装丁が素晴らしい。

もう一つ本棚はあるが、それは乱雑かつスカスカなので、お見苦しいのでお見せできない。
いつか、それらは全部処分する予定。


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