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書店パトロール33 サンリオピューロランド

美術コーナーに行く。大抵、月に何冊か、新しい本が出ている。
今日は、おっと、思う本があってそれを手に取った。なんと5,500円もする。え、一葉……。ぽっ。

私は一葉が好きだ。『たけくらべ』なんて、日本文学の最高傑作だと思っている。樋口一葉は24歳で『たけくらべ』を書いたが、まぁ、天の才である。
そもそも、大抵才能のある人は若くして芽が出るものだ。40とか50を超えて急に成功するのは稀であり、大抵皆、10代20代で何かを成すなり、その才能の片鱗を見せつけているものである。

さて、私がほしいと思った本は、エミール・ガレの本。

なかなかに分厚い本で、まぁ、鈍器になりそうではあるが、やはりこういう分厚い本はいいものだ。分厚い本、というのは、作者の思いに満ちている。然し、私はこういう本を買ってもおそらくは摘み読みして投げ出してしまう。寧ろ、一言一句読むなんて贅沢、それこそ子供の頃しかしていなかったかもしれない。あの頃は1冊1冊の本がとても大切だったから……。

エミール・ガレ、といえば、ガレのランプが真っ先に思い浮かぶ。あれは、よく、『なんでも鑑定団』に登場するが、ニセモノが多い。それから、ティファニーのランプ。
私はあまりランプ趣味はない。欲しいのは魔法のランプである。魔神ジーニーに願いを3つ叶えてもらう。然し、3つの願い、というのはなかなか難しいものだ。ディズニー版では、死者蘇生、願い事を増やす、人心の変化、は出来なかった。1つ目の願いで王子さまにしてくれと言われて、ジーニーは魔法をかけるが、私はてっきり、由緒正しい王子に変えてくれると思ったのだが、ただ偽従者などを増やしてパレードをするだけという、こんなん詐欺やん、と幼心に思ったものだ。結論、ジーニーは役立たず。

それから今度は、『暗闇の美術』。

まず、表紙からしてオドロオドロシイ。中はもっとおどろおどろしい絵で溢れていた。然し、タイトルにもあるように、美、というのは奇怪性、陰鬱性、そして禍々しさからも産まれる。ホラー映画はギャグと紙一重、というが、同時にアートでもある。ホラーはアートでありこれは紙一重ではない。妖怪やモンスターの造詣それ自体が想像力から具現された美であるし、映画ならばスプラッタ、残酷ショーはその鮮血の迸りそのものをいかにおぞましく、驚嘆させ、そして美しく描くか、その歴史であった。

なんてことを思いながら、文芸書コーナーへ行く。

おお、芸術書繋がり。画家風間完の御子息の風間研氏が書いた、父親の仕事。
昭和文学、というと、ここに述べられている作家、五木寛之、松本清張、池波正太郎、司馬遼太郎 、向田邦子は、私は実はそんなに明るくないので、まぁ、この方も存じ上げなかった。
然し、そこから広がる世界、というものもあるのだ。そして、こういう世界は面白いことに、だんだんと自分の陣地とも言える世界とも繋がりがみせはじめて、所謂ユニバースが完成するのである。
私はこれを買おう、と思い(いつも唐突)手を伸ばすと、ん?ときれいなきれいなブルーの装丁を目にする。

サンリオ出版。所謂、サンリオ文庫である。私は、無論世代ではないため、そこに贔屓の感情はない、ないのだが、たまさか雑誌などの特集などでその挿絵を見るにつけ、どうしようもない郷愁に駆られることがある。特に、サンリオSF文庫だ。これは蒐集家も多いので、古書界隈の話を読んでいると目にするが、特に、翻訳家の大瀧啓裕氏も同ブランドで翻訳作品を出していて、彼の本でこの項目に触れていて、私にとっては産まれる前の、懐かしき1970年代〜80年代の匂いがしていて、すごく心惹かれるレーベルなのである。
私はこれを機会に、サンリオの出版に関して勉強してみようかと決意し、本を手に取り値段を確認する。3,960円、である。私はまずはネットで勉強しよう、そして、そこから更に興味が深まれば……と心を新たに、書店を後にした。




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