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iPadさえあれば数学はできる(後編:アプリとか編)

前編ではアクセサリーなどを紹介させていただきました。この後編ではアプリなどを紹介させていただきます。2つとも独立した話なので、前編を見てないと内容がわからないとかはないのでご安心ください。

まず、iPadでできる数学的活動についておさらいしてみましょう。

iPad でできること(復習)

・ノートをとる、アイディアをまとめる(Good Notes 5)

・書籍や論文を読む(Kindle, Good Notes 5, arXiv)

・PDFの読み込み、書き込み、書き出し(Good Notes 5)

・書類のPDF化(Adobe Scan)

・TeX打ち(Overleaf, TeXpadなど)

・発表のスライド作り(Overleaf, TeXpad, Keynote, PowerPointなど)

・簡単な計算(Wolfram Alphaなど)

・簡単なプログラミング(Pythonista)

・データのバックアップ(iCloud, Drop Boxなど)

今回はこれらについて見ていきます。ポイントは述べますが、使い方について詳しく説明するわけではないので、適宜ググってもらえればと思います。

①ノートをとる、アイディアをまとめる&PDFの読み込み、書き込み、書き出し

・Good  Notes 5(必須)

有料アプリですが、購入して損はないです。iPadは何のために買うのかというと、このアプリを使うためです。

ノートの種類が豊富、ペンの太さや色の種類も豊富、投げ輪ツールによってコピー(orカット)&ペーストが簡単、線や図形などを綺麗に書く補助機能あり、などなど、ノートとして豊富な便利な機能を備えています。

また、PDFの読み込み、書き込み、書き出しが容易であり、PDFをわざわざ印刷する必要がありません。最強です。

②データのバックアップ

・iCloud(必須)

必須というか、元々iPadに入っています。容量に限りがあるので、たくさん使う方は課金しても良いかもしれません。Good  Notes 5のバックアップもできます(が、使用量が大きくなってしまうと思うので、バックアップは次に紹介するDrop Boxでやるのがオススメです)。iPhoneと同じiCloudにすることで、iPhoneでも一部のアプリを共有して使えるというメリットはありますが、僕はiPadはいつも持ち歩いていて、わざわざiPhoneで見ることがないため、容量を食わないようにiCloudは分けて使っています。

・Drop Box(推奨)

基本は無料のアプリです。資料や写真をバックアップして管理できます。もちろん見ることもできます。無料で使える容量は2GBまでしかなく、少し課金すれば2TBまで使えるようになります(もっと課金すればもっと容量が増えますが、個人的には2TBで十分だと思います。ちなみに課金する際は公式サイトからやった方が良いです。Appleアカウントから課金すると少し高くなります)。良い点は、ログインすればどんなデバイスからでもアクセスできる(PCであればブラウザから)ということと、オフラインアクセスを許可(ファイルごとに設定可能)すれば、オフラインの状態でも資料が見れることです。僕はGood  Notes 5と後述のOverleafとTeXpadのバックアップをDrop Boxで行っています。自動的にバックアップしてくれるのでとても安心感があります。また、フォルダ単位で他人と共有することも可能です。

③書籍や論文を読む

・Good  Notes 5(必須)

僕は普段ネットでダウンロードした論文やPDFをたくさんGood  Notes 5に保存して読んでいます。また、自分で書いた論文や文章をチェックしたり、他人が書いた論文や文章のチェックもGood  Notes 5で行っています。印刷する必要がないので、最強ですね(2回目)。

・Kindle(あると便利)

無料のアプリです。紙の本は場所を取りますし、持ち運ぶのが大変なので、僕はKindleで買えるものはKindleで買うようにしています。最近は洋書も充実していて、値段も紙の本より安かったりするのでぜひ探してみてください。

・arXiv(あると便利)

無料のアプリです。最新の論文の情報を手に入れるのに役に立ちます。ブラウザで検索しても見れますが、アプリになっているのはありがたいです。また、ダウンロードしたPDFはもちろんGood  Notes 5に落としてそのまま読むことができます。

④書類のPDF化

・Adobe Scan(推奨)

無料のアプリです。仕事の紙の書類などはAdobe Scanで撮ってPDF化してGood  Notes 5のフォルダに入れています。撮るだけなので簡単です。

⑤TeX打ち

TeXとは、知らない方向けにざっくりいうと、綺麗な数式の文書を書くときに使うツールです。世の中の数学の教科書とか数学書はほとんどTeXを使って書かれています。TeXってPCだと色々インストールしたりして環境を整えるの大変なんですよね。僕は学生時代、新しくPCを買ってTeX環境を整えようとするたびに何度PCを殴りそうになったかわかりません(3回です、とはいえ新品のPCなのでもちろん殴っていません)。最近はクラウド上で使えるものや、アプリで使えるものがあるので便利な世の中になりました。

・Overleaf(必須)

こちらはアプリではなくネット上でTeXを使えるようにしてくれるものです。そのため、Drop Box同様、iPadに限らずログインすればどんなデバイスでも使えます。メールアドレスなどを登録するだけで、すぐに使えるので便利です。iPadで使用する際のオススメのブラウザはSafariです(個人的に他のブラウザと比べて画面が見やすいと思っています)。また、他人と共有して編集することができます(無料版は自分と合わせて2人までです)。

注意すべき点は、オフラインでは使えないということと、日本語を使う際には始めに設定をする必要があるということです(全然大変ではなく、5分もあれば終わります)。ぜひググってみてください。

また、Drop Boxと紐づけるなどバックアップを取るためには課金する必要があります。僕にとってTeXのバックアップは命を守ることと同じなので、ちゃんと課金しております。

作ったPDFはGood  Notes 5に落として、保存してチェックをしています。

・TeXpad(あると便利)

有料アプリです。TeXpadはオフラインでも英語文書が作成できるので、そこがメリットです。日本語も使えますが、ネット上でしか使えないのと、設定が少し面倒なので、どうせネット上で日本語を使うならOverleafで良いと思います。TeXwriterというアプリを使えばオフラインで日本語も使えるみたいなのですが、色々設定が複雑そうなので僕は使ってないです。

では何故TeXpadを使用しているのかと言いますと、大体日本にいるときはWi-Fi環境が整っていますし、前編で紹介したようにネット環境を整えておけばどこでもOverleafが使えるので困らないのですが、困るのは海外にいるときや飛行機の中で作業するときで、この場合オフラインでTeXを使いたくなります。そして、大抵そういうときって編集するのは英語文書なので、TeXpadが活きるという感じです。僕が普段どうやって使っているかというと、

Drop BoxにOverleafのバックアップのフォルダを作り、オフラインアクセスを許可しておく(これはかなり重要で、通常はオフラインだとDrop Boxすら見れないので何もできなくなってしまいます)→フォルダにあるOverleafのTeXコマンドをTeXpadに張り付けて、編集をしたりコンパイルする(Good  Notes 5に落としてチェックもできます)→オンラインにできる状態になったら、TeXpadのTeXコマンドをOverleafに張り付ける。

という感じです。とはいえ、TeXpadを使いたくなるタイミングは、そんなに来ないと思いますので、基本Overleafで十分だと思います。

⑥発表のスライド作り

・Overleaf(&TeXpad)(必須)

TeXのdocument classでBeamerを使います。TeXと同じ要領でできますので、ぜひググってみてください。TeXと同様、綺麗な数式が書けるので僕は研究集会などでは基本的にBeamerを使っています。

・Keynote(あると便利)

無料アプリです。綺麗なスライドやアニメーションが作れます。

・PowerPoint(あると便利)

こちらもスライドやアニメーションを作るための有名なアプリですが、注意点として無料版は閲覧しかできません。他人が作ったものを見ることだけできます。スライドを作ったり編集するためには課金しなくてはなりません。それならKeynoteでええやんと僕は思います。

・Write & Recor‪d‬ (推奨)

つい最近(2021年3月15日あたり)リリースされた、手書きでスライドやアニメーションを作れるアプリです。スライドを作成したあと、声を録音することもできますし、動画を保存することができます。スライドのPDFも保存できます。めんどくさい編集作業などがほとんどいらないため、有料アプリですが、オススメです。

⑦簡単な計算

・Wolfram Alpha(あると便利)

無料アプリです。中高で学ぶ数学や線形代数や微分積分で出てくるような計算をしてくれたり、数式を入れるとグラフを描画してくれたりします。僕はこのアプリを使いすぎて、最近自分で積分ができなくなってきました。使いすぎにはご注意ください。

・電卓(あると便利)

これは色々種類があったりするんですが、なんでも良いと思います。中には関数電卓もあったりするのでぜひ探してみてください。僕は普段はあんまり使っていません。

⑧簡単なプログラミング

・Pythonista 3(必須ではない)

有料アプリです。なんとiPadでPythonが使えてしまいます。サンプルとしてゲームのコードなどが入っているので動かしてみると楽しいです。僕はつい最近このアプリを使ってPythonの勉強を始めたところです(あまり進んではないですが)。

⑨その他(追記しました)

ツイッターで追加のご要望&ご紹介いただいたものたちです(さのたけとさんありがとうございます!)。あると便利です。

・Paperpile(論文の管理)

ブラウザ(Google chrome)で使います。こちらは新たに教えていただいたものなので、自分は詳しくないのですが、論文を管理するのに便利そうです。Google ChromeにPaperpileの拡張機能を追加し、Googleアカウントでログインすると、論文の簡易情報と論文のPDFをGoogle Driveと同期して保存・管理してくれるみたいです。興味のある方はぜひ調べてみてください。

・Mathlog(数学記事の共有、交流

数学に特化した記事共有サイトです。ブラウザで見れます。他人の書いた記事を見たり、自分の書いた記事を共有し、コメント欄などで交流することができます。TeXで書いた資料をそのまま読み込むこともできます。多様な記事がありとても面白く、勉強になります。ただ、多様であるがゆえに、ときどき内容が数学的に間違ってしまっている記事もあったりするので、注意しながら記事を読むと良いと思います。

・MathOverflow(数学に関するQ&A)

言語は英語ですが、数学に特化した知恵袋のようなものです。ブラウザで見れます。

・Slack (コミュニティの管理、交流)

無料アプリです。コミュニティごとにグループを作ることができ、そのグループ内で様々な部屋を作ってチャットしたり、資料を共有したりできます。僕は仕事でも趣味でもSlackを多用しております。

・Zoom(オンライン講義・セミナー)

無料アプリです。他のミーティングアプリを使われている方もいらっしゃるかと思いますが、こちらもオンライン時代に便利なツールです。無料版は40分しか使えませんが、有料版もしくは大学などで配布されるac.jpのメールアドレスを使うと無料で無制限に使えます。iPadの画面を共有すれば、オンラインでの講義やセミナーが可能です。PCを持っている方はPCでZoomを起動し、画面共有ボタンを押してから、iPadにある画面ミラーリングの機能を使ってiPadの画面を共有することも可能です。


いかがだったでしょうか?少しでも参考になるものがあれば幸いです。もし、他に良いものがあればツイッターなどで教えていただけたら嬉しいです。それではまた。

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