BUN-1グランプリ2024作戦会議その7
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』大前粟生 河出書房新社
内田さん
多様性について考えさせらる本です。自分と違う考えを持っている人がいるんだということを学ばされます。
ぬいぐるみに話しかけるサークル”ヌイサー”の奇妙さがいいですね。
でも自分も男の子なのに子供の頃ぬいぐるみが大好きでした。親に「これは女の子のもの」と言われた記憶があるので、よくわかります。
普通ってなんだろう?と思ってしまいます。
自分は大前粟生さんのことは前から気になっていたのですが、実は読んでいなかったので、BUN-1が機会隣この本に出会うことができてよかった。大前さんは話題の人だし、言葉のセンスがある人ですね。
短歌を書いている方だからだと思います。言葉選びがとても丁寧。すべての文章が短文で紡ぎ上げているみたい。
今回のBUN-1では『水を縫う』や『むらさきのスカートの女』もそうですが、読むと読書会したくなる、語り合いたくなる本がいくつもあるのが特徴です。
「大丈夫?」という言葉を投げかけることついても、考えさせられました。
大田丸書店員さん
「大丈夫?」って聞かれたら「大丈夫」って答えちゃいます。そう答えるしかないですよね。でも、ほんとは決して大丈夫じゃない。私も常日頃そう思っていたので、親近感がありました。
初めて読んだ時、この本は「面白い」というのとはちょっと違う、でも「良いな」と思えたのです。それと、タイトルが秀逸。 ぬいぐるみとしゃべる人なんて普通やばいじゃないですか。
でも、私も3、4歳から大事にしているぬいぐるみがあって、話かけちゃうので、ほっとしました。そういう意味では「受け入れてくれる本」です。
河出書房新社村川さん
この本は、単行本の時から特段大きなプロモーションしてこなかったのです。純粋に中身で勝負してきました。きっとこの本を気にいる人はいる。そう思っていました。結果、非常に良い売れ方をしたと思っています。映画化もされましたし。
非常にパワーのあるコンテンツです。今回、BUN-1でまた光が当たって良かったです。
読者は若い女性が強いですね。この本、一見するとジェンダーの話や恋愛観の話に見えますが、実はコミュニケーションがテーマになっていると思います。例えば、誰でもその場のノリに合わせて、おかしくもないのに愛想笑いしてしまうということありますよね。そういった日本的文化コミュニケーション、実はその輪の中にいても安心できない、辛い空気感。そこを作品は描いているのだと思います。そして、その逃げ場として、ぬいぐるみと話す。
まずイラストに興味持っていただき、最初の10ページを読んで「これって、私のことじゃない?」と思って興味持ってくレた方に読んでいただけるといいと思います。中身で勝負。共感ポイントで勝負してきました。
内田さん
そう、決めつけはN Gですよね
今の時代の空気を描いたら、こうなったのでしょう。
2020年コロナの頃、奇しくも人間関係が遮断された頃の作品ですね。
それと、もう一つ。私は帯の裏に書かれている「不世出の傑作小説集」という言葉に河出書房新社さんの自信が込められているのでは、と思っているのです。「不世出」なんて、なかなか使わないですよね。
村川さん
共感ポイントは狭いかもしれないけど、逆に刺さる人には強く刺さります。読んだ人同士だと分かり合える。「まずは最初の10ページ読んでください」ですね。単行本は6刷になりました! それでも拡材作っていないんですよ。 本のパワーで売れている。すごい本です。
BUN-1事務局
そういう作品が今回のBUN−1に入ったのは、幸せなことですね。
これをきっかけに、作品に共感する人がますます増えることを願います。
ありがとうございました。
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