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デザインの力で新事業「攻めのDX」を実現! 〜2021年上半期:お客様の状況と対応策についてのサマリ 後編〜

2021年7月28日にオンラインイベント "デザインの力で新事業「攻めのDX」を実現! 〜2021年上半期:お客様の状況と対応策についてのサマリ 〜”  を開催しました。

"Build Lunch Session"とは
DXの概念論や理想論ではなく、現実的に課題を解決するためのノウハウ、メソッドや国内事例に注目し、国内リーディング企業とともにDXの実現に欠かせないポイントについて対話するランチトークセッションです。

今回のテーマは” 2021年上半期:お客様の状況と対応策についてのサマリ ” 。

今回は、上半期に相談頂いた内容を振り返りながら、DX推進を推進される方にとってヒントになる内容を語っていただきました。

本記事では、パネルディスカッションの様子(後編)をお届けします。
前編のセミナー記事はこちらから

幅広いデザインの価値

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西村:今日お話しいただいたところ最初の話はデザイン思考とか、皆さんもなじみがあって、割と理解しやすかったなと思うんですけども、いわゆるUXデザイン、UIデザインというプロダクトの領域、製品やサービスにデザインを生かしていく分野以外に、ビジネスデザインという、ビジネスとしてどういうふうにデザインを生かしていくのかっていう戦略みたいなお話もあります。さらにちょっと最近違う観点で増えてるのがこのブランドエクスペリエンスという観点で、会社やチームが何をしたいのか、何を成し遂げたいのかっていう、これまでとは違った観点での「WHY」を追求していくためにデザインを使っていくことも増え始めています。こういったところが意外と大事だなっていうかお客様が喜んでくれるデザインの価値発揮ポイントだなっていうのが見えてきました。

神原:これは確かにありますね。実際にbuild serviceもグッドパッチさんと一緒にBX(ブランドエクスペリエンス)体験をしているんで私にはすごくわかるんですけど、現時点でBXというのは視聴者の皆さんにとってもあまり一般的な言葉ではないと思うので、「ブランド構築とはなんぞや」みたいなところをもう少し説明いただいてよろしいでしょうか?

西村:そうですね。今ブランドみたいな言葉を使わせていただいたんですけれども、一言で言うと絶対ぶれない、大切にしたいもの、コアですね。これをブランドっていう感じとして捉えていただけるといいかなと思います。コミュニティがあってそれでファンができて、ということをブランドの構築を呼んだりしますが、もちろんそれは具体的に描くとそうなるんですけれども、それってファンの人たちが、その企業だったり、そのプロジェクト、そのサービスの思想、この絶対ぶれないものに対して惹かれているからなんですよね。なので、まずブランドというのはこのコアの部分があって初めてそのコミュニティとかいろんなブランディングと呼ばれるいろんな行為が意味を持ってくる、マーケティングに近いかもしれないですけども、コアがあるから取り組みがより生きていくという考え方です。

BXというのはこの中心にある、「絶対ぶれない価値」とか「届けたい感動」みたいなそういったところを定義したり可視化するデザインの行為になります。

神原:ブランドって一般的に言うと、宣伝やマーケティングっていうふうに解釈されがちですが、実際はそうじゃない。

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西村:はい。そうですね。ちょっとこの図で説明した方がいいかなと思ったんですけれども、コアの話っていうのはここで、コアアイデンティティは中心の絶対ぶれないものですね。

それをもとにして例えばどういうブランドとして性格、振る舞いを持たせるのかとか、言葉使いとかどういう言語を使うのか、とういことが決まってくる、例えばルイ・ヴィトンとプラダを比べたらブランドとして違う印象を持たれると思うんですね。それはコアのメッセージや目指している方向性や世界観が違いますし、最終的にはそのブランドが持つ性格が違うからです。

皆さん割とこの外側からブランドを見るので、タッチポイント(接点)で感じるものがブランドとしての最初の入り口なのでどうしてもそこに注目しがちですが、外側ではなく中心にあるものをまず作っていく、この行為がブランドエクスペリエンスデザインのスタートです。なので最終的には中心から外側まで全部をやるんですけれども、今までは外側から先に、コミュニティをやりましょうとか、まずファンを作りましょうとか、そういう考え方でやってたんですけど、それで割と積み上げ的ファンになった人が何でファンになってくれたのかというと、それは企業が目指している「WHY」から問うた答えと乖離してしまうケースもあったりするので、どちらかというと中心から外側へアプローチする感じですね。

神原:具体的には、本音と建前があっちゃ駄目っていう考えですね。

西村:そうですね、そこがぶれてると多分皆さんそれを感じて買わなくなったりとかしますね。

神原:それは社内推進という意味でもそうですよね。

西村:今の時代にこういう引き合いが増えてるのも、DXに通じることだと思うんですけど、関係者が増えたり、共創とか協業とかをする時に「何がしたいんですか」みたいなところがぶれ始めると、結局いろんなステークホルダーが増えていったときに、そのサービスのいろんな品質や意思決定がずれたりするっていうのが課題として出てきて、そこを固めたいですってお話があります。実際私が他のプロジェクトで経験した事例では、経営レイヤーと現場のレイヤーで認識の乖離があってプロジェクトの推進力が落ちているというか、判断していくスピードが落ちていることがわかったため、我々から提案させていただいて、コピーライターを入れて、一緒にその共通認識というか、コアを作りましょうということをやりました。このプロジェクトは一体何をしたいのか、そのビジョンと言いますか、その目指す方向性を言語化することをやらせていただいた結果、最終的に4行くらいに言語化された内容が出てきたんですけど、それを中心にしていったことでいろんな判断が素早くなってですね。体感的には2倍ぐらいスピードが上がったなって思いますね。

神原:ブランドってどうしても社外向けマーケティングっぽく見えるかもしれないけど、それは表層の部分だからそう見えるんであって、中身っていうのがしっかりしていて、それをみんなが信じて、ちゃんと思いがそこに乗っかったシャープなものになっていれば、普段の活動でみんなが判断することも正しく早くなるということですね。

西村:さらに言うと一貫性が保たれる。例えば吉野家へ行ったのにサイゼリヤみたいな料理が出てくる、そんなことはあってはならないと思うんですけど。そういったこともなくなる。

DXにおけるデザインの力

神原:視聴者の方から頂いた質問がいくつかありまして「DXにおけるデザインの力をどう実行するか伺いたい」「デザイナーのDX推進における役割を知りたい」というご質問がありました。今までの話の中でも出てるんですけど、何か補足することはありますか?

伊澤:DX推進における「考える」プロセスで生きるのはデザインであり、クリエイティブな部分で背景等をビジュアライズするっていう強みを持っているのもデザインの力だと思います。

DXのプロセスを進めるにあたって、見えるもので共通認識を取ることってめちゃくちゃ大事じゃないですか。特にステークホルダーがすごい多くなりがちだと思うので、そういったところでもデザインの力が生きると思っております。

神原:小野寺さんも結構多くの時間を上半期一緒に過ごしたと思うんですけど、なんか印象に残った「デザインの力が証明された瞬間」とかってありましたか。

小野寺:そうですね。お客様が結構自分たちでも調べてるようなケースがあっても、一緒にリサーチに入ってもらったときに、「あ、本当はこういう価値を僕ら求めてたんだ」っていうふうにお客様に言われたことがあるんですよね。自分たちでも調べているのに、やっぱりデザイナーがリサーチをかけることで、本当のエモーショナルな部分から含めて、本当に知りたいことが聞き出せたというケースがあって、プロにやってもらったからこその成果なんだろうと思いました。

企業が大切にしたいコアが変化するタイミング

西村:また視聴者の方から質問が来ました。「コアがが変化していくことはありますか?コアが変化するシーンはどういうタイミングで起こりますか?」ブランドに限った話じゃないといった私は解釈してるんですけれども、コアがが変化していくタイミングはあると思います。ただ、基本的にはあんまりぶれないものだというふうに思ってます。

もう少しちょっと説明していきます。サービスを最初立ち上げたときと、3年後ではいろんな状況が変わってると思うんですよね。それはどういうユーザーが増えていってどういう会員が増えているかっていうサービスとしての話もありますし、社会環境やブランディングみたいな話とかメッセージの部分とか、こういったものを変化させる必要とかアップデートする必要は絶対あると思います。これが変化させるべきものだというふうに思ってます。

ただがその中心にある「描きたい未来」がぶれてしまうと、結局メッセージとか全部一新するぐらい変わってしまうので、そこは変えるべきじゃないなと思ってます。

神原:逆に言うと、できる限り変わらないものを定義することがコアを定義すること。だからこそコアである。周りの部分はどんどん変化していくけれど、コア、軸は変わらないよとそういうイメージですかね。

西村:もうちょっと補足すると、最初コアだと思って結構頑張って定義するんですけども、やっぱりアップデートされることもあると思うんですよね。実際やったからこそコアをもっとこういうふうに削ぎ落としたいみたいな、そういうケースで変化させることはあります。ただ、これも削ぎ落としてるだけで、全くこれを作り変えてるわけではないので基本的には変わってないという感じですね。

余談ですけど、仏教はアップデートされる宗教って、皆さんご存知かもしれないですけど、仏教っていうのは基本コアは変わらないんですけど根幹の思想は若干アップデートされてるんですよね。空海の時代とかに。そんな感じでこのコアって捉えてもらえるといいので割と日本人には馴染みやすい考え方なんですよ。一方でキリスト教のコアは全くアップデートされない。

コア・アイデンティティはどのように決めるのが一般的か

西村:これは二つの観点がありますね。先ほど言ったコアの部分が「社会や市場に馴染むか」って話だと思うんですよね。

神原:なので、最近のビジョン、ミッション、バリューって、なんかこう、自社だけじゃなくて周りの人が聞いても、いやお客様が聞いてもいいなって思うものが「いいミッション、バリューなのかな」と思うんですけど。

西村:はい。難しいなと思っているのはな最近僕が読んだ本でブルネロ・クチネリさんという方が書いた「人間主義的経営」という本で、ミラノ市場で上場した会社のお話なんですけど、その会社が最初やってたのはいわゆる今でいうSDGsみたいな活動だったんですよね。全然ビジネスにならないとずっと言われ続けてもそこを信じてやりきって、最終的に上場して最近はむしろめちゃくちゃ評価されてるみたいな話なんですが、このように何十年もかかる場合あると思うんですよね。これも正直、運というかやっぱいろんな考えやせめぎ合いなので、成功を早くしたいから描きたい未来を変えちゃうのか、それともやっぱりそういうふうに何十年と小さなスモールビジネスみたいな感じでやっていくっていう判断でやるのか、そこを決めればいいだけかなとは思ってます。

ただ、そこはもう我々ではコントロールが難しい領域かなとは思ってます。でもどっちもいいんじゃないか、っていうのは、僕としては、デザイナーとしては思っています。なので、正しい場所で戦うっていうのが答えかもしれないですね。

神原:正しい場所を探す手助けをしている、ビジネス側寄りのデザイナーとして、パンチさんどうですか。

伊澤:ずれてないか不安です、という不安に対して回答すると、ずれているかもしれないという不安があるなら、まずそのコア・アイデンティティの起点がどこなのかっていう考えてみるといいかなと思っていて、コア・アイデンティティの起点が例えば自社のエゴの押し付けみたいなってると、きっとずれが生じるかも知れませんね、当然これは当たり前の話ですよね。

コア・アイデンティティをどう組み立てるか、何か困ってる人を見ましたとか、社会的にこういう課題が見えました。これを解決したいですみたいになっていれば、ここのぶれっていうのは生じづらくなる。というふうに思うので、もし本当にずれてないか不安だっていうんであればまずは起点に立ち返って考えてみるといいと思います

神原:不安になってる時点で多分もうずれてるってことですよね。

西村:そうかもしれない。確かめた方がいいでしょうね。もしユーザーだったらユーザーリサーチですし、うん。戦略とか市場とのずれみたいな、そういう話では今パンチさんが言ったようなやり方で。

神原:小野寺さんも一緒に参加したお客さんのワークショップでありました。もともとお客さんのチーム内で接合してると思ってたんだけど、「なんで」って問い続けると、その接合がだんだん緩くなってきてギャップが出ていったような感じがして、でも更に話してみるとガチッと合うというような場面が。

なので、ずれがないようなところまで何度も行ったり来たりするんですよね。それで自社にとって価値になるのか、お客さんが本当にそれで喜ぶのかっていうのを、何度か往復するっていうのも、デザインスプリントの中でもやっていることですよね。

小野寺:むしろずれがあるかどうかという不安を意識してるっていうことが大事なのかなとも思いますけどね。

神原:確かにずっとアップデートを続けるっていうことが重要ですから。

時間になりましたのでここまでにしたいと思うんですけども、最後にですね少しだけ宣伝させていただいて、私の方でサマリーして終わりたいと思うんですけども、今申し上げました通りですね、上半期ちょっと振り返ると、「攻めのDX」」について、DX全体っていうのはもう皆さんもご存知おり、いろんなところで活況ですと、もうDXという言葉がば本当に完全にバズワードになってる、しかもそれがITのキーワードじゃなくてビジネスのキーワードとしても社会全体でいろんなところで言われています。

その一方でいろんなとこで言われてるからこそ、しかもデジタルという言葉があるからこそ、ちょっといろんな誤解を受けたりする状態になっています。そんな中でも、本質的には企業の優位性を確立することっていったもののために生まれ変わる、変革、トランスフォームするという状態が必要です。

そのときに「攻めのDX」ってあえてこの中で提示しましたがそのために今言ったような顧客視点で新しい発想で新しいやり方で物事を考えて進めていくっていうやり方が必要になってきます。攻めのDXを目指すお客様で一番多い、まだまだやらなきゃっていうことはわかってるけどどこから手をつけましょうとか、アイディアのおぼろげなものがあるんだけど本当にこれでいいのかなってちょっとまだまだ迷ってる、社内を納得させることができてないお客様に対して、今デザインの力がどういうふうなところで使われていくのかというのをお話させていただきました。

そして今度はこれを絵に描いた餅にしないように、ちゃんと実装まで繋げていくっていうことが重要になります。最初のお様一緒に考えるところからスタートして、実際に作っていくっていうところまでシームレスに、一気通貫に進めることが、我々の価値でもあります。今日はちょっと前半の方の話が多かったんですけども、実際には実装というところも含めまして、ご相談いただければと思ってますのでよろしくお願いします。

では、我々のセッションは以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。



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