僕たちは「愛のある買い物」をしていますか?
自己紹介
農業のスタートアップでマーケティングの責任者をしています。「食べチョク」というサービス(後述)を運営しています。
昨日はじめてnoteを書きまして、もう一つだけ言いたいことがあったので、今日また書いています。テキストでのアウトプットは苦手なので、当分noteはお休みします。笑
堅い経歴はこちら
今回のテーマと背景
このnoteでは、「愛のある買い物」をしてますか?ということを読んでくださった方に問いかけたいと思っています。
私は、供給サイド(農業界)のことを本気で考え、その課題解決のために奔走していますが、真に解決されるのは需要側(消費者)なのでは?って思っている面もあり、今回はあえてそっち側のお話をしたいなって思いました。
事前に書いておきますが、これはあくまで私個人の想いで、これに対して反対意見なんて無限にあります。押し付けたいわけではなく、私はこの正義を掲げて進んでいこうというだけの話です。優しく読んでくださいね。笑
ひたすらに「消費」する社会
大量消費社会からの脱却は実現したのか
これまで何度も、大量消費型社会は終わりで、心の豊かさが大事だ、といわれてきました。
さて、果たしてそれは実現したのでしょうか。人々の心は豊かになったのでしょうか。どれほどの人が意味を持って購買行動をとっているでしょうかか。
スマホが生まれ、DX(デジタルトランスフォーメーション)が騒がれ、人々の無駄な仕事がどんどん代替されるようになった今、さあ心の豊かさを!
って、なってないのはなぜでしょうか。
脱人間化していく生活様式
「マクドナルド化*」という言葉があります。それは、合理的な生産と消費が外食産業だけではなく、現代社会の生活に浸透していることを示す概念です。また、ファストファッションは爆速でレベルアップしていますし、住居だって上質なライフスタイルごと提供してくれるサービスがあります。
いまや、低価格で一定以上の「条件」は満たせるようになった社会。都会に住み、みんなと同じようにいい暮らしをできるようになり、その暮らしを支えるために日々会社に行き、通勤電車に揺られ、ストレスのある仕事に耐えていくわけです。
( * マクドナルド化についてのわかりやすい記事はこちら )
さて、供給側は?
人々が均質で上質なものを手に入れることができるようになりました。結果は私が言うまでもありません。個人経営の店はあらゆる領域で消滅し、モノを買うのはamazonで良くて、先述のように、みんな低価格で「イイモノ」を買おうとするわけです。
そうなってくると、究極、供給側は模範解答が出せればいいわけなので、総合得点80点の商品が続々登場していきます。とがった商品は、まさに戦国時代。相当な強者じゃないと生き残れなくなってきます。だって、変な食器が欲しい人が10人じゃなくて3人になってしまったので、生き残れる食器職人は10社じゃなくて3社になってしまうんです。
これってまずいんじゃないの?って動きはどんどん出てきますが、正直言って焼け石に水な気もしてます。怖いんですよね。歴史や文化が織りなしてきた様々なものが一挙に失われていく世界線。
さて、需要側は?
安くてまあまあイイモノが買えるようになった私たちはハッピーになったでしょうか。私はそうはあんまり思えないんです。切り詰めて、最低限のものを買って、「生き延びている」に近い。レコメンドされた当たり前の商品を追われるように買い、束の間の快楽にお金を投じ、何か常に満たされない。
それは正直言って当たり前ですよね。みんな大好きマズローの欲求5段階説の一番下までどんどん下がっているんだから。
私はこれを勝手に「追い詰められた消費」と呼んでいます。自分で使うお金を、本当の意味で自分のために使えない。ただ淡々と摂取し、「消費」していく。食べ物は、栄養。服は、最低限のマナーを崩さぬもの。
この先にあるのはなんでしょう。農業で言うと、植物工場や大規模農業が大勢を占めていく世界。ファストファッションやチェーン店の増加。もちろん、それにはそれの良さがあり、背景があり、必要な面は確実にあり、当たり前のことです。これでいいのかもしれない。もう10年もしたらそれがほぼ全員になり、違和感を持つ者も少数派になるのだから。
でも個人で見たときに、そこにあるのは飢えの感覚、下がっていく人間性ではないのかなーなどと思います。想いのないところに、創造性は育たないのではないでしょうか。ってか、シンプルに、その生活を一生続けるのしんどくないですか?
「愛のある買い物」のススメ
ご自身の収入はいくらですか?そのうち何円を毎月使っていますか?この質問はもちろん即答できるはずです(できない人も多そうですが...w)。
ではそのうちいくらが誰のところに行っているか、誰への感謝に使ったか、わかる人はいますか?
昔よく考えていたのが、「お金の価値って、なんだろう?」という問いでした。これには様々な答えがありそうです。今度話す機会があったら教えてほしいです。あなたにとってのお金とは?
私にとってはお金とは、頂いたサービスやモノに対して、「感謝」や「尊敬」など感情を示す「対価」です。
できる限り、自分の素敵だと思うものを、それを作った人に、あるいは運んだ人に、料理した人に、還元していきたい。それが届いた瞬間の得も言われぬ嬉しさたるや。自分のお金は自分でコントロールして、自分で気持ちのいいように使いたいですよね。
自分のお買い物事情
というわけで、できる限り「愛のある買い物」をしたい私のライフスタイル・嗜好はこんな感じです。もちろんファストファッションも買うことはありますし、マックはお世話になってるし、スーパーはすごい仕組みですし、最高です。
古着屋で服を買う
服には生産された際にストーリーがあって、携わった人がいて、手元に届いて、それを着て過ごしていきます。少しその形跡をたどれると、堪らなく嬉しい。
古着の場合さらに、前に着ていた人がいて、集めてきた人の思いがあって、店頭に並んでいます。ふと手に取り、話が弾み、それを背負って着る。こうして得た服は、ただ機能としての服とは、満足感が違うんです、私にとっては。
美容院にはいきたいと思ってるんですが...
実はここでは、愛のある買い物をしている人は多いと思ってます。この人にお願いしたいなって人がいたり、切ってもらった後すごくうれしくなったり。まだ自分はそういう人に出会えてなかったので、中学三年くらいからほぼ自分で切っています。でもめっちゃ羨ましいので、ぜひ紹介してほしい気持ちです。
食べチョクで食材を買う
「食べチョク」は自分が所属する(株)ビビッドガーデンの運営しているサービスです。生産者と消費者の分断されてしまった距離を近づけるべく、「縁結び」をテーマにしているサービスです。こだわりを持っている生産者の方から直接購入でき、直接やり取りをすることができます。
私自身がたくさん使っているのですが、実際にどんなところで栽培して、この時期は忙しいらしいとか、この野菜の旬って今だったんだとか、日々発見があります。そうして箱を開けると、おまけが入ってたり、手紙が入ってたり。そこから好きになって高知まで会いに行った農家さんもいます。自分の母も、「あ、小池さんだ!」って好きな農家さんができてます。素敵。
まだまだ理想郷には全然達してない発展途上のサービスですが、少しずつ使い倒してくれて、生産者の方と暖かいやり取りをしている方を見かけます。「愛のある買い物」がもっとたくさん生まれるために日々プロダクトを改善しています。
最後に
「追い詰められた消費」が圧倒的な勢いで増えていく社会で、あえて「愛のある買い物」を掲げているいま、正直言ってかなり難しさを感じます。でも、私はなんとしてでも成したいと思っています。「愛のある買い物」を当たり前にする。
この文化を社会に実装するにはとてつもない力が必要になります。まして私たちは大企業でも行政でもなく、スタートアップ。意味不明な時間軸で急成長することが必要な、鬼のように厳しい道。
力を貸してください。
食べる人、生産者、ボランティア、アンバサダー、ライター、インターン、それから社員も株主ももちろん。みんな合わせて「チーム食べチョク」と呼んでいます。
弊社のバリューに「全方位リスペクト」というものがあります。食べチョクに関わる全ての方をリスペクトして接していく。役割が違うだけで、みんなで「生産者と直接つながる」を当たり前にしていく。
ぜひ一度食べチョクも体験してみてほしいです。追い詰められて「消費」して、食べ物を摂取するのではなく、自分で選んで、貰った愛の対価としてお金を使ってみませんか。
食べチョクじゃなくてもいいです。
「愛ある買い物」、しませんか?広げていきませんか?
もし嬉しいお買い物をしたら、ぜひ教えて下さい!
その感覚を、終わらせたくないなーって、思います。
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