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大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。

回りくどい喩えですが、公募も同じようなことが言えます。公募情報は餌、大学は釣り人、公募戦士は魚です。公募戦士は一見孤独ですが、餌を撒く大学から見たら魚群のようなものです。釣りあげられるのを辛抱強く待つのも手でしょうが、どうにかして一歩抜きんでた魚-すなわち「釣り人を『釣る』金の魚」-になる方法はないか、私はそんなことを考えながら公募戦線を戦っていました。本記事は、その時に工夫し効果をあげたものを紹介するものです。有料部分では実物も公開してます。

私は、計8件の教員公募に応募し、2つの大学から内定をいただきました。大学側からみれば自分など魚群の一匹にすぎないことを途中で悟り、なんとかして経験豊富なライバル戦士たちより目立つ方法はないかとあれこれ思案しました。要求されていることのみを書いた「受け身の書類」ではなく、釣り人たる大学側にとって「こいつを取りたい!釣りたい!」と思わせる「攻めの書類」を作成できるよう意識しました。

「攻めの書類」の要素になりうるものやアイデアはいくつかあります。他の現職公募戦士と比較して研究歴も教育歴も業績も大したことのない私が工夫したのが、授業評価アンケートでした。といっても、大学側が実施するアンケートではありません。自身の授業向上を目的として独自にアンケートを作成したのです。授業向上は表向きの目的です。実際は、教歴の浅い自分が、大学側が求める「いい授業」をしていることの客観的な証明を得ることが目的でした。どれだけいい模擬授業をしようとも、熱心に自己アピールをしようとも、やはり実際に講義を受講している学生による評価に勝るものはないと考えたのです。

結果、大正解でした。申請書類に含まれる教育研究業績書欄において、アンケート項目と結果を2,3程抜粋して掲載し、「他の項目については添付資料参照」としてアピールしました。書類審査を通過した2つの大学では、面接時にいずれもこのアンケートをもとに話題が広がりました。内定につながりましたので、好印象だったのだと思います。項目は約20で、授業の満足度や教員の授業姿勢を問うものにプラスして、任意のコメント欄を設けました。コメント欄は、学生の生の声を通して授業の雰囲気を醸し出すことが目的です。もちろん、アンケート結果がよくなければ、次年度の参考にとどめて資料として提出する必要はありません。自己アピールにならない任意資料は、公募においては封殺してしまった方がよいです。あくまでも戦略的な授業評価アンケートです。

以下の有料部分では、実際のアンケート項目+結果+学生のコメントを公開しています。加えて、アンケートを実施する際のちょっとした工夫や面接官の反応についても記しています。私の個人情報や、授業の内容・テーマ、学生の個人情報等に関する部分については黒塗り修正していますが、アンケート項目自体には手を加えていません。学生の評価コメントから、授業の雰囲気や私自身が授業で工夫していた点もわかると思います。履修生121名中110名が回答し、自由記載コメントは45件残っています。今見返しても、上手に「釣る側」にスイッチした資料であると自負しています。

様々なヒントが隠されていると思います。興味を持たれた方は是非ご覧ください。ただし、私の特定リスクは否定できないため500円としております。その点はご了承ください。

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