白井智之『名探偵のはらわた』読了。

地獄から蘇り人鬼と化した現実の殺人鬼(作中では名前が多少変えられているが)と、名探偵の対決。猟奇殺人犯、毒殺魔、大量殺人犯にロジックを駆使した、名探偵が立ち向かう。

言うならば国内版「切り裂きジャック対シャーロック・ホームズ」の様な作品。だが、そこは白井節全開。グロ要素は控えめだが、この世界観でしか出来ないヘンテコロジックを堪能できる。
ロジックの分厚さで言えば、前に読了した『おやすみ人面瘡』に分が上がるが、エンタメ性で言えばこちら。

ラストも白井作品には珍しい(?)、華やかな終わり方で、もし続編があるのならば、読みたい仕上がりになっている。
それにしても、はらわた君、デートで観る映画じゃないぞ。






【ネタバレ注意】

やはりロジックとして、最後の津ヶ山事件。過去の殺人鬼なので、テレビやスマートフォンに映ったり聞いたりしたものを人間として殺していたという前提が逸材。そこから始まる、みよ子が刀を渡した→過去の大量殺人がそれよりももっと多い人物を殺そうとしていたという結論に行きつくところが良い。

個人的には、金田一耕助が実在するという趣向は、我田引水的になりがちでいかがなものかと思うが、これもロジックに組み込まれているからなぁーともなったり。

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