方丈貴恵『孤島の来訪者』読了

孤島のクローズド・サークル&特殊設定物。謀殺された幼馴染の復讐を誓い、ターゲットに近づくためテレビ番組制作会社のADとなった竜泉佑樹は、標的の三名とともに無人島でのロケに参加していた。島の名は幽世島―秘祭伝承が残る曰くつきの場所だ。撮影の一方で復讐計画を進めようとした佑樹だったが、あろうことか、自ら手を下す前にターゲットの一人が殺されてしまう。一体何者の仕業なのか?

先にも書いた通り、この「特殊設定」というのが、所謂触れると「ネタバレ」になるので書かない。しかし中盤できちんとルール説明してくれるので読者には親切設計。『挑戦状』に挑んだものの、全作もそうなのだが、大掛かりな「前提」までは読めとけるが、その後が手がかりからの捏ね繰り回しが必要。

サスペンス部分もきちんとしているが、途中、とある人物の心情描写が少しアンフェア気味には感じた。
以上!





【ネタバレ注意】

おそらく作者は『ターミネーター2』を見ていて思いついたのだろう。マレヒトの存在はまんまで、そこに付属される特殊設定も目新しい。

しかしこの特殊設定というものが、普通の特殊設定物と違っており、物語途中までいかないと、真相を見抜けないという意味では国内作家Yの、ある長編を思い浮かべてしまう。

またマレヒトが赤色を認識できないというのは、ほぼ概念のトリックなので、読者への挑戦状までにもう一工夫欲しかったところ。

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