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気になる統計 月別自殺者数について(2021年1月末の速報値)

2021年1月10日に警察庁から月別自殺者数(2021年1月末の速報値)が公表されました。1月の自殺者数は1,646人で前年同月比では40人の減、前月比では48人の減です。厚生労働省のウェブサイトでも情報を取りまとめているので引用します。

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厚生労働省の資料では各月の男女別内訳はまとめられていないので同省ウェブサイトに掲載されている過去の資料から各年1月の男女別内訳を抜き出してグラフ化してみました。

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2008年以降の1月としては総数では2018年に次ぐ2番目の低さになっていますが女性だけを見ると2016年に次ぐ5番目の低さで過去5年間では最大となっています。他方、昨年12月と比べると女性の自殺は66人の減で男性の自殺は18人の増となっています。【参考:気になる統計 2020年の自殺者数について(12月末の速報値))

不況と自殺には強い相関関係があることが知られており、コロナ禍で自殺者数が過去2番目の低さになっているのは意外な感じがするかもしれません。これに関しては昨年の春の緊急事態宣言の時にも自殺が大きく減っており、以前「気になる統計 月別自殺者数(2020年7月)」「気になる統計 月別自殺者数(令和2年9月速報)」に考察を書いています。緊急事態宣言下では協力金等の支援により倒産はそれほど増えないのに対しテレワークが増えると対人関係のストレスが減ることにより自殺が減る効果があるのかもしれません。ただし今回の緊急事態宣言では高校生以下の休学がなく、またテレワークも昨春ほど増えなかったようなので昨春の緊急事態宣言より自殺の抑制効果が弱かったようです。昨年の例では緊急事態宣言が明けると自殺が急増してくるので緊急事態宣言明け早々に各種支援を打ち切ってしまうと再び自殺が急増するおそれもあります。

また全体数が減る中で男性の自殺が増えているのも奇妙な感じがしますが、雇用関係の統計をみると女性の自殺急増と関係があると言われる飲食等での非正規雇用の減少が落ち着いている一方で製造業の雇用が一貫して減っているようなので、コロナ禍が長期化する中で男性・正社員の雇用にも次第に悪影響が大きくなってきているのかもしれません。

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