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気になる統計 2020年の自殺者数について(12月末の速報値)

2021年1月22日に警察庁が2020年12月の月別自殺者数の速報値を公表しました。2020年12月中の自殺者数(速報値)は1,694人で、同年の月別の推移をグラフにすると次のとおりです。

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厚生労働省のウェブサイトでも情報のとりまとめを行っているので引用します。

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2020年の年間の合計は20,919人で直近5年と比較すると2015~2017年よりは低く、2018年(20,840人)と2019年(20,169人)より多くなっています。ただし11月と12月をみると月別では平成27年(2015年)に次いで2番目に多くなっています。

コロナの影響のあった2020年を除くと、例年は3月と5月に自殺のピークがあり秋から冬にかけては低下する傾向があることが分かると思います(これに関する考察については「気になる統計 月別自殺者数(令和2年9月速報)」に書きました。)。2020年に限っては春の緊急事態宣言の影響で5月のピークが緩やかに後ろ倒しされ、また景気が悪化したことにより10月にピークがくる形になったようです。冬になるにつれて例年の傾向に近い形になってきて月次推移では下がったものの前年同月比では高止まりしています。

またマスコミ等で女性の自殺が急増しているということが言われますが、それは前年同月比の話であり月次推移のことではありません。不況になると自殺が増えることは良く知られています。過去の金融危機やリーマンショックでは中高年男性のリストラや製造業の雇用の縮小が目立ち、中高年男性の自殺が増えていたようですが、コロナ禍では政府の各種施策により正社員の雇用は比較的守られていたのに対し、非正規の女性の雇用が一時急減したため女性の自殺の前年同月比が大きく上昇しているようです。

雇用関係の統計を見ると秋以降は非正規雇用も回復しつつあったので自殺の傾向も例年に近い形になってきつつあったのですが、本年1月に大都市圏で再び緊急事態宣言が出されたことが今後のどのように影響するのか懸念されます。

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