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おうちでつくろう_01 はさみで切り出す、ぐるぐるせいぶつ

かれこれ64年にわたって携わってきた図工と美術。こんなにも長い間、学校がお休みになることはありませんでした。
そんな今だからこそ、わたしたちだからこそ!みんながおうちでたのしく、そして学べるアイディアを!出さない理由があろうか!いや、ない!
ということで始めます。美術出版エデュケーショナルのメンバーが実践する「おうちでつくろう」。

はさみで切り出すぐるぐるせいぶつ って?

紙に描いたぐるぐるに沿ってはさみを動かしていくと、りんごの皮よろしく、バネやひもを連想させる「動きのあるかたち」が切り出されます。復元力によるそのランダムな動きは、どこか生き物のよう ── この細長い紙、もしかしたら「まぼろしのぐるぐるせいぶつ」なのかもしれない。

わたしたちが扱う道具って、実は「手を握る」動作で成立する仕組みが大半を占めていますよね。もちろん手は開かなければ握れませんが、はさみの「開いてから握る」動作は「開く」への意識が特に求められます。そんな中でケガをしないように注意しながら切る対象物を手にとる、つまり両手を連動させる必要も。はさみに触れて間もないお子さんをヒヤヒヤしながら見守ることになるのは、当然なのかもしれません。
「はさみで切り出すぐるぐるせいぶつ」は、慣れないうちはむずかしいけれど、制作の可能性を広げてくれる「切る」に親しむことをテーマにしたワークです。

・対象年齢 : 4,5歳 〜 小学校1年生
・学びポイント : はさみを使った「かたち」の切り出し方に親しむ
・用意するもの : 画用紙、はさみ、飾りつけアイテム

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Step.01 画用紙にぐるぐるを描く / 大人パート

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画用紙に、ぐるぐるを、描くのです(そのまま)。
大きな丸をキレイに描くのってむずかしいですよね…。ちょっとゆがんでいても気になるのは自分だけですので、「ちょっとラフなほうが生き物っぽいよね」で突破してください。

Tips : まずは直径小さめ or 巻く数少なめでのスタートも
切る距離が長いと動きが大きくなるぶん、できあがり時のテンションが上がります。ただし、「長い!しんどい!」と子どもにおこられる場合が…(現象を確認済)。
はさみを使った工作に親しんでいない場合は、まずは直径小さめ or 巻く数少なめでのスタートがおすすめ。

Tips : ぐるぐるの幅はゆったりと
ぐるぐるせいぶつは、以下を想定した活動です。
・テーマ = はさみを使った「かたち」の切り出し方に親しむ
・切り出したら絵を描くなどのアレンジをする
ぐるぐるの幅がせまいと細かいはさみの動きが必要だったり、飾りつけの面積が限られたりと不必要にテンションが下がってしまいます。まずは幅2〜4cmほどを目安にしてみてください。

Step.02 作業のガイドを書き添える / 大人パート

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もちろん口頭でもよいのですが、添え書きスタイルを取ると「文章の意味を理解し、行動する」練習も兼ねることができます。
メンバーの子どもは「アベベのぼうけん」にドハマリ中なので、便乗してミッション調に。

Step.03 はさみで切り出す / 子どもパート

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ガイドを書き添えたら、お子さんにバトンタッチ。いよいよ、ぐるぐるせいぶつをはさみで切っていきます。
はさみで「かたち」を切り出すときのポイントは、はさみの位置は動かさず、紙を動かすこと。はじめはお子さんの思うように切り進めてもらい、途中でその旨を声がけすると、ちがいを体験・理解しやすいようですよ。

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はさみを持つ手は動かさずに、

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紙をぐるぐる。

なお、子どもの手はまだ握力が育っていなかったり可動域が小さかったりします。サイズの小さい子ども用はさみがあると「切りづらい!キーっ!」というストレスが減るのでオススメです。小学校入学時に準備するアイテムですので、よろしければこの機会に。
オススメの子ども用はさみは以下のnoteでご紹介しています。
創業64年の美術と図工の道具屋さんではたらくママの「新入学 画材・文具の準備品」が想定以上にためになった話。

Step.04 びよーん / 子どもパート

切り出せました!端っこをもって立ち上がると…

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びよーん。
「へびー!? …あ、階段にも見える!」
プリンセス派女子ゆえか、らせん階段に見立てたようです。なるほど。

Step.05 飾りつけ / 子どもパート

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お絵描きするもよし、モールなどでデコレーションしてみるのも楽しそうです。
模様を描くときは、重ね塗りができるタイプの絵の具やポスターカラーなどがおすすめ。「あとで色を入れる箇所は塗らずに空けておく」といった行程の想定は、よほど描き慣れていないとむずかしいですよね…(わたしもテスト時にうっかり塗りつぶしてやり直しになりました)。

ところで、らせん階段はどうなったのか。

Step.06 ぐるぐるせいぶつで遊ぼう

びよーんという動きや、巻きつけられる形状を活かすといろんな遊びができます。

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アスレチックに巻きつけてみたり…

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高いところからぶら下げてみたり。

ちなみに、メンバーの家では「未確認せいぶつ・ぐるぐるを探せ」という探検ゲームがヒットしました。

「未確認せいぶつ・ぐるぐるを探せ」概要
1.かくれんぼの要領で、未確認生物ぐるぐるを配置する / 大人パート
 →この間、子どもは配置の様子が見えない場所で待機。
2.配置した場所のヒントを示したカードを作って、目につきやすい場所に配置 / 大人パート
3.配置が完了したら、子どもへ捜索依頼 / 大人パート
4.探し散らかす / 子どもパート

ヒントカードはこんな感じでつくりました。

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高いところには登れない様子。

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似た色やかたちに隠れる様子。

まとめ

つくっておわり、ではなく「つくったもので遊べる」制作活動は、遊びを経て「次はこんなのをつくってみよう!」という主体性に繋がります。
遊んでいる時間が長くなるので、在宅ワークなみなさまにもピッタリという副産物も…笑。

という表現は心苦しくなりますが、大人も、親も完ぺきではありません。
子どもにたのしい学びを提供しつつ、大人は大人で仕事に集中する。そんなバランス感覚が大切なときもありますよね。
終わりが不確かな困難に取り込まれることなく、工夫しながら前に進む ── こんなときだからこそ、想像力と創造力を大切にしたいものです。

そしてもし、ひと息つくタイミングができたらお子さんの作品に触れてあげてください。

おまけ -このワークで使用したアイテム-

子ども用はさみ
美術出版エデュケーショナルのクラフト番長による、詳しい解説もご用意しています。

画用紙
飾りつけやハードな遊びを鑑みると、ある程度しっかりした紙がおすすめです。色つきの画用紙なら、よりせいぶつのバリエーションが豊かに。

重ね塗りしやすいマーカー
芯が太めのタイプはガシガシ描けるのでおすすめです。

もちろんおうちにあるものでも充分にお楽しみいただけますので、お子さんのお好みも踏まえてお選びくださいね。

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