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タイトルで思わず買ってしまった本【なぜ働いていると本が読めなくなるのか】

数か月前にSNSでとても話題になった本。
あまりにもタイトルが強すぎて「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」をまんまと買ってしまった。

タイトルを見た瞬間「あ!私のことを言っている!!」と思ってしまった。
学生時代は本を読んででいたのに、社会人になってからは全く本を読まなくなった。
そんな後ろめたい気持ちを突いてくる絶妙なタイトルで、著者の方か編集の方かどちらか分からないが、このタイトルをつけた方は天才だと思う。

本の半分以上は仕事と読書の歴史についての解説。
途中で私たちはパズドラはできるのに本は読めないのか?という問いが挟まる。
これも共感できる。
本は読まないのに、ツムツムやポケモンGOなどのゲームは余暇時間によくやっていた。
余暇時間なんて自分の好きなように使えばいいのに、なんとなく後ろめたい気持ちになるのはなぜだろう。

本を読むことについて「読書は人生のノイズ」という表現。
本を読めないのは、本から得る情報が余計なノイズのように感じるのではないのかという話。

忙しくて「本」は読めない。
だがそんな忙しい中でも「自己啓発本」は読むことができる。
確かに私も忙しい時期に自己啓発本は読んでいたし、YouTube上にある本の流行りの本の要約動画も観ていた。
自己啓発本=人生に役立つ情報源で自分の人生に取り入れた方がお得なのではないかという感覚で読んでいた。
自己啓発本はなぜ読めるかについて著者はこう表現している。

それは眼前の出来事に「自分がどう感じるか」をコントロールすることによって、人生を好転させるというロジックである。自分がコントロールできる範囲――つまり感情をコントロールすることによって、自分の人生を変える。そう、ノイズのないポジティブ思考こそが、良い脳内ホルモンを分泌させるのだ。 そこに社会は存在しない。なぜならアンコントローラブルな社会という存在は、個人にとって除去すべきノイズだからだ。 自己啓発書は「ノイズを除去する」姿勢を重視している。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

ノイズの除去を促す自己啓発書に対し、文芸書や人文書といった社会や感情について語る書籍はむしろ、人々にノイズを提示する作用を持っている。 知らなかったことを知ることは、世界のアンコントローラブルなものを知る、人生のノイズそのものだからだ。 本を読むことは、働くことの、ノイズになる。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

ノイズのない「パズドラ」ノイズだらけの「読書」
本が読めなくても自己啓発本が読めるは、余計な情報(ノイズ)がなくてポジティブな気持ちを与えてくれるから。
おそらく読み終わったあとに、何かしらの明確な答えを与えてくれることを期待して読んでいる。
本を楽しむというよりは、本を読んで情報という名の報酬を貰う感覚。
そう言われると余暇時間に自己啓発本を読んだり、ゲームばかりしていた理由もなんとなく理解できた。

さて、この本の最大の問いについて。
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の結論について。
著者は「仕事に全力で時間がないから本が読めないのではないか」という結論を出した。

私たちはいまだに非効率な長時間労働を抱えて生きている。それが「仕事以外の文脈を取り入れる余裕のない」すなわち働きながら本が読めない社会をつくってしまっているのだ。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

その結論に対して、今後社会がどうなればいいのか。

働きながら本を読める社会。 それは、半身社会を生きることに、ほかならない。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

全身全霊で働くよりは、半分ぐらいの余力を残して余裕をもって働ける世の中になれば色々と助かる人たちがいるのではないかという話。
まぁぶっちゃけ、全人類それができたら苦労はしない気もするが…。
本を読む読まない関係なく、人生を楽しむには仕事半分、趣味半分な生活が理想ではある。

確かに私がゆっくり本を楽しむようになったのが、ここ数年の話。
会社員をやめてから本を読むようになった。
確かに働きながらでも本を読む余暇があることは人生を豊かにするには重要なポイントだと思う。
だから著者の結論については異論はないが、なんとなく、なんとなく、もう少しひねった答えを期待していた自分がいる。
この本についてはタイトルが強すぎた印象を抱く。
予想できた結論に少し拍子抜けしたのは事実。
それでもめちゃくちゃこの本が売れているのは、やっぱり私のように社会人になって本を読めなくなったことに後ろめたさとか、本を読んでいる人に対して羨ましいという気持ちや憧れを抱いている人が多いということなのかもしれない。
読んでいて思ったが、私は「教養」という言葉に強い憧れを抱いてることも分かった。
結論はともかく、マーケティング的には大正解な本のような気がする。




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