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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #1 スペイン巡礼との出会い

はじめまして、ナガイと申します。2023年春に計画しているスペイン巡礼について記録するためにnoteを始めました。

今回の記事では私のスペイン巡礼との出会いについて書いていきます。少し変わった出会い方かもしれませんが、自分にとっては大事なきっかけなので書き留めておきたいと思います。

スペイン巡礼との出会い①小袋成彬 『分離派の夏』

実はスペイン巡礼と関わりがあることに気づいたのはつい最近なのですが、振り返ってみればこれが私のスペイン巡礼とのファーストコンタクトでした。
小袋成彬(おぶくろなりあき、と読みます)さんは音楽好きな方はご存知かもしれませんが、宇多田ヒカルさんの楽曲プロデュースなどを手掛けつつ、ご自身のオリジナル作品も発表しているミュージシャンの方です。そんな小袋さんが2018年にリリースした1stアルバム『分離派の夏』の中に“101117 @El Camino de Santiago”というトラックがあります。このトラックには一人の男性(小袋さんの知人と思われる)が道を歩きながら独り語りしている音声が収められています。

このトラックは楽曲と楽曲との間に収められており、最初に聴いた時は面白いアルバムの構成だなーと思いながら聴いていましたが、この男性がなぜスペインを歩いているのか、“El Camino de Santiago”が何なのかについては聴いた当初ほとんど気に留めていませんでした。
そして、後述する別のきっかけでスペイン巡礼を知った後、つい最近になってから、このトラックがスペイン巡礼の道中で録音されたものであることに気がついたのです。実は既に5年近く前からスペイン巡礼と自分の人生が交差していたことに不思議な縁を感じ、大げさかもしれませんが自分がスペイン巡礼をすることは予め運命づけられていたのかもしれないとさえ思いました。
ちなみに、もし小袋成彬さんの楽曲を聴いたことがない方は、ぜひアルバム全体も通して聴いてみてください。

2ndアルバム『Piercing』や最新作である3rdアルバム『Strides』、その他のコラボ曲なども素晴らしいので、併せてぜひ。

スペイン巡礼との出会い②神田伯山 『問わず語りの神田伯山』

私がスペイン巡礼というものがあることを最初に認識したきっかけが、講談師の神田伯山さんのラジオです。神田伯山さんは新婚旅行としてスペイン巡礼をされたそうで、その時のエピソードを2017年7月16日の回でお話されています。当時は真打昇進前の神田松之丞時代だったため『問わず語りの松之丞』という番組名でしたが、番組は現在も『問わず語りの神田伯山』というタイトルで続いています。
私はコロナ禍になり家にいる時間が増えたことでラジオやポッドキャストを聴くのにハマったのですが、そこでお気に入りになった番組の一つが神田伯山さんのラジオでした。『問わず語りの神田伯山(松之丞)』は過去の放送が全てアーカイブされており今でも聴くことができるようになっています。そのおかげで私もスペイン巡礼のエピソードを聴くことができました。少し前まではTBSラジオクラウドでしか聴くことができませんでしたが、最近になってApple Podcast、Spotify、Amazon Music、Google Podcastなどでも聴けるようになっています。

神田伯山(当時は松之丞)さんのスペイン巡礼のエピソードは何度聴いても面白い(個人的には34分過ぎの3日目夜の喧嘩の件が最高に好き)のですが、話の中で小野美由紀さんというライター・エッセイストの方の本が取り上げられていました。スペイン巡礼に興味を持った私は小野さんの本をAmazonで注文して入手しましたが、今思えばこの本を読んだことでスペイン巡礼をする意思はほぼ固まったのだと思います。

スペイン巡礼との出会い③小野美由紀 『人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅』

その小野美由紀さんの本が『人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅』です。Amazonの購入履歴を見返すと2022年7月24日に購入しており、そういえばフジロック(2022年は7月29日〜31日に開催)に持って行って読もうと思い、直前に注文したことを思い出しました。その時期はちょうど昨年退職した職場での仕事が一区切りしつつあった頃で、何か新しいことを求めていた時期だったのでしょう。その時期のことは機会があれば改めて書きたいと思います。

私がAmazonで購入した時は普通に買えたと思うのですが、今は特に新品の紙の本だとやや入手しづらくなっているかもしれません。この本は小野さんの3度の巡礼の経験やリサーチに基づいて書かれており、私にとっては最適なスペイン巡礼の入門本でした。ただし、この本が出版されたのは2015年で、書かれている情報は10年近く前のものであることや、今はスペイン巡礼に関する書籍やインターネットの情報は他にもたくさんあることを考えると、必ずしも入り口はこの本でなくてもよいと思います。とはいえ小野さんの文章は読みやすく、情報収集だけでなく読み物としても面白い本なので、興味のある方は電子書籍もあるようなのでぜひ読んでみてください。

スペイン巡礼との出会い④おまけ

私のスペイン巡礼との出会いとしては主に以上の3つですが、その他に私がスペイン巡礼を決めた最初の頃に読んだブログを2つ紹介しておきます。ただし、それぞれ巡礼時期は2015年、2012年とやや古いため、小野さんの本と同様に書かれている情報が最新のものとは異なっている可能性がある点にご留意ください。

1. 『アラサー腐女子がスペイン巡礼900km歩いてみた。』

自称アラサー腐女子のねーぬさんが書いた巡礼ブログです。

ねーぬさんのブログに辿り着いたのは、たまたまGoogleでスペイン巡礼について検索していたら見つけたか何かだったと思います。ねーぬさんは当時ワーホリでフランスに住んでいて、フランスから直接スペイン巡礼に向かっているため、日本から巡礼に行くケースとは多少前提が異なりますが、ねーぬさんの軽快な筆致の文章からは何より巡礼を楽しんでいる様子が伝わってきます。小野さんの本を読んだ段階ではまだスペイン巡礼に対する不安のようなものが大きかったのですが、ねーぬさんのブログを読んだことで心理的ハードルを下げることができ、よりスペイン巡礼を楽しみに思えるようになりました。また、私がこうして自分のスペイン巡礼記を書こうと思ったのも、ねーぬさんのブログを読んだ影響が大きいと思います。私がねーぬさんのブログを読んで大いに役立ったように、いつかスペイン巡礼を考えているどこかの誰かが私の巡礼記を読んでくれて、少しでも何かの役に立ったらいいなと思ったからです。

2. 『みきかノート がんになってからのこと』

こちらはねーぬさんのブログで紹介されていた、2012年にスペイン巡礼をされた方の巡礼ブログです。

この方がスペイン巡礼をした当時は64歳とのことで、その年齢で単身スペインへ赴いて800kmを歩き通し、その記録をこうしてまとめ上げていることに心の底から感服します。

お二人のブログはどちらも全て読みましたが、二人の間の一つの共通点は英語がほとんど話せなかった(ねーぬさんはフランスに住んでいたためフランス語は話せた)ことです。二人が英語を話せないことで悪戦苦闘している様子は、読者の立場からは物語の一要素として楽しめますが、それよりも当事者の立場から見た場合に重要だと感じたことは、二人とも英語がそれほど話せないにも関わらずスペイン巡礼を実行した、その行動力です。何か新しい物事を始めようか迷っている時に「スキルがないから」「経験がないから」と自分の中で都合よく言い訳をしてしまい、結局何も始められないということはよくあります。でも二人はそうした言い訳もせず、自分の興味の赴くままに行動に移したのです。それは時にリスクを伴うことかもしれませんが、それでもスペイン巡礼を実行した二人の行動力には勇気をもらうことができます。

「いかに偶然性を取り込むかを忘れずに旅に出たい」

今回は私のスペイン巡礼との出会いについて書きました。私の場合は本来スペインやキリスト教などとは関係ないような音楽やラジオがきっかけでしたが、それから自分の境遇やタイミング的にも必然だったかのようにあれよあれよという間にスペイン巡礼をすることになったのは自分でも不思議です。気づいたら目の前にスペイン巡礼があった、という感じです。
なお、出会いの話からは少し逸れますが、私は2022年秋頃から本格的にスペイン巡礼の準備を始め、約半年間の準備期間を過ごしていますが、そこで意識しているのはスペイン巡礼について事前に調べすぎないようにすることです。この記事で取り上げた本やブログ以外にも、スペイン巡礼に関する書籍やインターネット上の情報は探せば山ほどあると思います。ただし、私は今回紹介した本やブログを一通り読み終えたところで、これ以上は他の人の巡礼記を読まないでおこうと思いました。あまりに予備知識をインプットし過ぎしてしまうと、自分の巡礼が予習した内容をただなぞるだけの行程になり、つまらないものになってしまいそうだと感じたからです。私が新しめの巡礼記には手を出さず、あえて少し古い情報を選んだのも、初めからそうしたことをうっすらと感じていたからだと思います。このことについて、ちょうど2023年2月25日付の日本経済新聞夕刊に批評家の北村匡平さんが書かれた『僕が旅に出る理由』という題名のエッセイが載っていました。その内容は北村さんの旅に関する経験や考え方を綴ったもので、私にとって時宜を得たテーマだったので興味深く読んだのですが、その最後の一文でまさに私が感じていたことを言語化してくださっていました。

どこに行くかよりもどう旅するか、いかに偶然性を取り込むかを忘れずに旅に出たい。

2023年2月25日付日本経済新聞夕刊 北村匡平『僕が旅に出る理由』

私はこの言葉を自分のスペイン巡礼にあたっての一つの大事な指針として覚えおこうと思いました。一見無関係な音楽やラジオの趣味が偶然にもスペイン巡礼へ繋がったように、スペイン巡礼においてもゴールへ辿り着くことよりゴールまでの道のりをどのように行くか、その過程で「いかに偶然性を取り込むかを忘れずに」巡礼をしたいと思います。

次回以降の記事ではスペイン巡礼に向けた事前準備について、出発直前まで可能な限り書いていこうと思います。ぜひお気軽にフォロー、記事へのスキ(いいね)やコメントをしていただけると嬉しいです。それではまた次の記事で。

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