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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #13 【11日目】アニータ・ウリーと歩く&サンソルでアルベルゲ選びに奔走

こんにちは、ナガイです。今日はエステージャからサンソル(Sansol)まで歩きます。
前回の記事はこちら。

天気予報(サンソル) 曇り 最高気温23℃ 最低気温8℃

6時に起床。今日はもっと早く起きる予定だったが、他の巡礼者のいびきのせいでよく眠れなかったようだ。6時半に出発。

今日は当初計画していたロス・アルコス(Los Arcos)ではなく一つ先のサンソルまで行くことを考えていたが、出発が遅れてしまったのでどうしようか。歩きながら考えよう。

歩き始めるとすぐに前を歩いている2人に追いつく。アニータと、もう一人は見覚えがあるものの話をするのは初めての男性だ。彼の名前はウリー。オーストリア出身で現在は仕事の関係でエストニア在住。初対面でなんとなく波長が合う人だと感じる。

しばらく歩くとスペイン巡礼では有名なワインの泉(Fuente de Vino)がある。蛇口をひねるとワインが出てきて無料で飲めるというものだ。早朝なので我々は飲まずに写真を撮るだけにした。

まもなく分かれ道に行き当たる。左は距離は短いが険しい道、右は距離は長いが平坦な道とのこと。我々は左の道を行くことにした。ウリーは日本のアニメをよく知っていて、進撃の巨人はストーリーが奥深いよね、という話をした。

山道を進んでいると後ろからナタリーが歩いてきた。彼女と会うのはピレネー手前の宿で一緒になって以来だろうか。再会を喜び、しばらくの間4人で歩く。

林道を抜けると遠くにとがった山が見える。山頂に何か建物がある。とてもきれいな景色で、こっちの道を選んで正解だったね、と喜び合った。

9時前にルクイン(Luquin)の村を通過。ウリーは去年の夏に7年間付き合っていた彼女と別れたそうで、それが巡礼に来た理由の一つだそうだ。

この2人には何か特別なものを感じ、巡礼中に友達ができたら渡そうと思い日本から何個か持ってきたお守りをあげることにした。好きなお守りを自由に取ってもらい、アニータは平安神宮のものを、ウリーは下鴨神社のものを選んだ。

11時過ぎにロス・アルコスへ到着。

今日アニータとウリーはロス・アルコスで泊まるそうだが、日差しはここ数日ほどの強さではなく、もう少し歩けそうなので自分は一つ先のサンソルまで行くことにした。

二人に分かれを告げてロス・アルコスの町を抜けると、ひたすら平坦な道が続く。遠くにはすでにサンソルの町並みが見える。

太陽を遮るものが何もないのは少しきついが、起伏がないだけ楽だ。

歩いているとお腹が空いてきた。グーッとお腹が鳴る。せめてロス・アルコスでランチくらい食べておけばよかった。日差しと変わり映えのない景色に体力を奪われるが、最後もう一踏ん張りして歩く。

12時半過ぎにサンソルへ到着。今日は十分歩いた。

一軒目のアルベルゲで受付しようとすると20ユーロと言われ、少し高いなと思ったので「他のアルベルゲを見てきてもいい?」と言って一旦保留にした。

二軒目のアルベルゲは7ユーロとのことで、今日はこちらに泊まることにした。

シャワーと洗濯を済ませて外出すると、どうやらこの町にはバルやレストランがないようだ。唯一の商店も閉まっており、しかたなくバーでポテトチップス2袋とコーラを買って昼食代わりにする。4ユーロ。こういう時のために食料は常に買って携帯しておくようにしよう。ロス・アルコスで泊まっておけばよかったかなと少し後悔し始める。

アルベルゲに戻ると、部屋の中に大量のハエがとんでいることや、洗濯物を干すスペースが小さく日も当たらないことに耐えられなくなり、別のアルベルゲに移らせてもらうことにした。シャワーなどの設備を使ったのでホストに3ユーロだけ払ってアルベルゲを出た。

サンソルで残り一つの三軒目のアルベルゲに行く。これが大当たりだった。

宿泊代が16ユーロ、夕食も13ユーロで付けることができるとのこと。二軒目のアルベルゲで払った3ユーロを考えると結局一軒目の20ユーロとほとんど変わらなくなってしまったが、ホストであるオランダ人のベネディクトという男性が気さくで優しく、設備も二軒目と比べると天と地ほども違う充実ぶりだ。ちょうど夕食もどうしようか困っていたところだったので、意を決して移って大正解だった。

スペイン巡礼におけるアルベルゲ選びの重要さを学んだ一日になった。

二軒目のアルベルゲから持ってきた洗濯物を干し直し、町へ出る。見晴らしのいい場所にベンチがあったので、そこで夕食の時間まで過ごした。天候もちょうどよく、あらためてこうやって時間を過ごすことが実はなによりの贅沢ではないかと思う。

19時に夕食を頼んだ宿泊者が食堂に集まる。食事を始める前に、今日はベネディクトの孫娘が21歳の誕生日らしく、みんなで彼女をお祝いしてほしいとのこと。全員がもちろん!と快諾し、ベネディクトが彼女とテレビ通話を繋いでみんなでハッピーバースデーの歌を歌った。プエンテ・ラ・レイナのアルベルゲで遭遇したようなどんちゃん騒ぎは好きではないが、こうしたハッピーなワイワイの仕方なら歓迎したい。

食事の前にキリスト教のお祈りをした。自分は無宗教だが、お祈りをしている間は何か神聖な空気に包まれるのを感じる。料理はベネディクトとは別の男性が作っており、彼がスペイン語しか話せないためベネディクトがホストを引き受けたといういきさつらしい。一皿目はアーティチョークの茎とハムのスープ。二皿目はトルティージャ、チキン、ポテト。デザートはオレンジとヨーグルト。シンプルだが、これ以上は何も必要ないと思える素晴らしい食事だった。

私たちのテーブルはベネディクト、バルセロナ在住のアルゼンチン人カップル、スイスから来た男性、韓国から来た男性という顔ぶれだった。ベネディクトのマシンガントークに若干ついていけなくなりつつも、互いの巡礼の動機を共有したりして楽しい時間を過ごした。

今日は色々あったが、最終的にはとても良い一日になった。22時に就寝。

歩いた距離
今日28.6km 合計142.3km 残り638.1km

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