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【NYY】好きなプロスペクト

TDLにて”消極的な買い手”という謎ムーブをかまして全米の笑いをかっさらったニューヨーク・ヤンキース。肝心の8月は5勝13敗で現在8連敗というタンクチームも真っ青な連敗街道をひた走っています。いやね,TDL直後にあれだけチーム路線をバカにした手前,絶好調でPS圏内に滑り込んでいたら立つ瀬がありませんでしたが,予想どおりの展開を迎えてくれて僕の体面は保たれました。

そんなこんなで,このままシーズン負け越しとなれば当時はまだ若かったBuck Showalterが指揮した1992年以来31年振りの珍事となります。1989年から4年連続の負け越しを記録していたわけですが,皮肉にもこの暗黒期にJeterやPosada,Pettitteをドラフト指名することに成功し,後の黄金期を作り出せたわけですね。
残念ながら現行CBAにおいては贅沢税のしきい値を40MM超過する場合にはドラフト1巡目指名権が10位降格となることから,ロッタリーで全体6位以内にはいった場合を除いては,下位指名のスパイラルから抜け出すことは困難に思えます。

いつもながら冗長になってしまいましたが,短期的にも中長期的にもお先が真っ暗なチームにあっても,そんなに悲観的ではありません。Juan Carelaの放出に留めたお陰(?)もあってか,マイナーが焼け野原になっていないことが救い。MLBPipelineにおいてNYYのファーム充実度は全体21位,fangraphsにおいても25位と評価は低め。ただBaseball Americaでは11位に着けるなど,媒体によって評価が異なります。そもそもマイナーを充実させるのって手段であって目的じゃないからね,これで何年も上位とり続けてコンテンド失敗している球団もあるのでね。(2016-17年ファーム充実度2位球団のファンより)

長くなりましたが,そんな絶妙な立ち位置のNYY傘下において,お気に入りのプロスペクトを数名まとめていきます。順番は適当。

①Jasson Dominguez(20歳・OF)

PipelineでSpencer Jonesに抜かれはしたものの,基本的には球団№1プロスペクト的存在。16歳でNYYと5.1MMの巨額契約で加入すると2021年にFCLでデビューしました。この辺の細かい話は去年出したnoteを読んでもらえばあらかた追えます。

19歳で迎えた昨年終盤,High-Aで年齢超のパフォーマンスを残すとそのまま2Aに昇格。プレーオフでは2試合3HRでチームをリーグチャンピオンに導きました。こういうチャンピオンシップDNAは貴重だなって思います。
今季のSTにおいても11試合 4HR OPS1.565と輝きを放ち,20歳でのMLBデビューも持て囃されていましたよね。

しかし2Aで迎えた4月は一転して大苦戦。月間で僅か7安打に終わります。そのままなかなかスタッツが上向くことはありませんでしたが,.200代中盤のBABIPを楯にJ-DOMを擁護し続けていました。しかし6月に入るとBABIPは上昇するのに成績は下降の一途を辿り,6月末時点で打率.197 10HR OPS.702というトッププロスペクトらしからぬ成績に終始。
ただ,前年同様に夏になると調子があがるのか,7月最初の13試合で7度のマルチヒットを記録。下旬には2ヶ月近く音なしであった猛打賞も複数披露するなど2Aの適応を予感させるストロークを見せました。そして今月には既に5度の猛打賞,3度の1試合4安打,9四球17三振とノリにノリはじめています。ずっと出ていなかった長打もどんどん出ているのが印象的ですね。自分より若い投手と一度も対戦していない中,109試合で打率.255 15HR OPS.783 36盗塁 129三振 77四球となかなか良いラインにまで引き上げたのは立派であり,不振込みでもBB%=15.3という高水準を保っているのは流石の一言。年齢も加味すれば2Aで彼以上のZone管理能力を持っているのはJackson Holidayくらいでしょうかね。

Toolとして際立っているのはRaw Powerですが,まだ年30HRほどを狙えるGame Powerへの変換に至っていないというのが実情。Runツールも,これ以上の筋肥大によってはみるみる低下していきそうなのが難点。個人的に評価したいのが,今年からJ-DOMのLF起用を増やしていることでしょうか。明らかにMLBでは通用しない中堅守備に見切りをつけて両翼を見据えているのは素直に👏。また,昨年のLow-A・High-A同様に適応後はK%を低下させてBB%を上昇させることができており,恐らく8月下旬から9月にかけてもそんな感じに推移するのでは?といった感じ。

実は3AのOF・Everson Pereiraが近々MLBに昇格するのでは…といった噂も出ており,Pereiraの穴埋めとして9月にJ-DOMが3Aに昇格する可能性が大。→これ書いた次の日に昇格決定したわ。
振り返れば,同じく2019年の国際FAにて鳴り物入りで入団したRobert Puason(OAK)がLow-AでOPS.406と現在でも苦戦,Bayron Lora(TEX)が家庭内暴力で年初めにリリースされているのを見ても,「Dominguezさん,めちゃくちゃようやっとるよな?」という感想になるのです。(同クラスだとEmmanuel Rodriguez(MIN)とかが超お気に入りですが,彼ですらようやくHigh-Aで適応したレベルだしね)

選手の完成形としてMickey MantleやMike Troutといった超次元5ツーラーを望むのは酷でありますが,かつてのShin-Soo Chooのように毎年20HR-20SB-70BBを記録できるスケールの打者も目指せる気がします。これでもハードルは高い気がしますけどね。

②Henry Lalane(19歳・LHP)

2番目でFCLのガキを出すのは俺も流石にどうかと思ったけど,あまりにも楽しみな存在になってきているので取り上げます。彼もJ-DOM同様に1年前にnoteでまとめているので詳しいプロフィールはこちらからご覧ください

Montasらを獲得する大補強をかました直後に当時DSLでプレーしていた選手にフォーカスしたnote書いてる時点で相当おかしい話ですが,今考えればナイスピックでした。加入したのは2021年であり,当初は身長200cmという恵まれたボディーフレームと,劣悪な制球力というありがちなプロスペクトといった評価。しかし昨年DSLでの2年目シーズンを迎えると48.1回でK/9=9.68,BB/9=2.61と課題を克服。私はバカなので「和製らんでぃ!」と騒ぎ立てていました。

大抵こういうのは翌年になって転けるもんなのですが,今季FCLでプレーしているLalaneは更にギアを上げてきました。調整が長引いたのか他の投手よりも遅い6月下旬にシーズン開幕を迎えると2.0回無安打無四球4奪三振の圧巻デビューを果たします。ちなみにこの時の相手投手はAlek Manoahだったのは内緒。
8月4日のTOR戦では3.0回で8奪三振と,少しレベルの違う内容を見せていました。

快投を続けたLalaneですが,現時点で8登板 21.2回で34奪三振 4四球(K/9=14.12,BB/9=1.66)の好成績。ERA4.57は高い数値であるものの,LOB%やBABIPを考えれば重要視する必要は薄いかと。

今季からFB%が上昇していることで被本塁打が増えている…といったくらいしか課題が思いつきません。投げている球も90mph中盤のフォーシームに80mph中盤のチェンジアップ,70mph台のスライダーと球速帯の異なる3球種。どの球種でもしっかりとカウントを稼げているのが印象的。正直FCLではやることがないと思うので,それこそ一昨年のJuan CarelaみたくさっさとLow-Aに上げてほしいと願うばかり。強度が増した中でも制球力を維持できるかが楽しみですね。来年には傘下TOP30常連になるかと思います。

③Brock Selvidge(20歳・LHP)

2021年の3巡目指名選手であり,あと数日で21歳を迎える左腕。高校時代からMAX96mphの直球を武器に奪三振能力のある左腕として名を馳せていましたが,問題は制球力。シニアイヤーには52.1回で37四球と危険信号が点滅していたプロスペクトでもありました。
2022年にFCLで本格的なデビューを飾ると42.2回で53奪三振とポテンシャルを披露。しかもここで僅か17四球に留めていたことは少なからず注目を集めることになります。ただ,私の記憶だと2022年登板の映像資料はあまりにも少なく,まだ評価しかねるといった感じでした。

2023年は状況が変わってStatcastによる計測が行われるLow-Aに昇格。もともと高水準であったフォーシームでしたが,シーズン中の投球改造に成功すると平均2,700rpm,最高2,900rpm程度のスピンレートを毎試合計測するような大変貌を遂げます。球速も平均90mphまで到達してきており,先発左腕として来年にはTOP100も目論めるのでは…と妄想すらしています。

6月9日登板時の一例_Baseball Savantより引用

肝心の成績も104.0回で119奪三振 30四球と上々。すでにHigh-A昇格も果たすなど,ブレイクイヤーを飾っています。昇格後もスタッツを下げることなく今のところ順調。試合中継を観ていてもカウントを取ることに全く苦労している様子はなく,先発投手としての未来は明るいのかなと。

④Enmanuel Tejeda(18歳・INF)

2022年1月に国際FAで獲得した選手であり,契約時には一応noteでも触れていましたが,今見てもAriasを除けばLuis Suarez並にスイングを評価していた気がします。(後出しジャンケンという批判はやめなさい)

実際,昨季プレーしたDSLにおいてはKeiner Delgado同様に高いレベルでプレーしたことで評価が上昇しました。(46試合 BA.289 3HR 11盗塁 25三振 41四球 OPS.956)

今季プレーしているFCL Yankeesにおいては2022年国際FAの№1プロスペクトであったRoderick Arias,ようやく光る物を見せ始めたHans Montero,小兵ながらRk級最高の成績・トラッキングを残し続けているKeiner Delgado,僅か17歳にしてFCLをクリアしつつあるJohn Cruzといったタレントがひしめく中,Tejedaも大活躍。
現時点では49試合でBA.296 5HR OPS.909 44三振 43四球 23盗塁とFCL級で最高クラスの成績を記録しています。

もちろんAriasも好きですけど,彼は怪我しちゃったので来年また追いたいと思います。9月上旬でLow-Aの日程が終わっちゃうことを踏まえると,デビューは来年ですかね。NYYファンの2024年における拠り所はLow-Aになりそうです。というか,1ヶ月前は年齢超レベルの成績に収まっていたJohn CruzがすでにTejedaを超えるほどの成績を残していて怖くなってきています。

ちなみに↑みたく,Enmanuel TejedaをEmmanuel Tejadaと誤表記しているアカウントがあるため,パブリックサーチに支障が生じているプロスペクト。Emmanuel ではなくEnmanuel。TejadaではなくTejedaなので注意しましょうね。


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