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今の彼と付き合うことに決めた理由。

今の彼と付き合うことに決めた理由。それはいくつかあって。昨年8月、僕の元彼である岐阜のバーのマスターが入院しました。僕は、岐阜の店を閉めてはおけないと思って、未経験ながらお店を開ける決意をしました。
お店に立ったこともない僕は、最初はあたふた緊張しっぱなしでした。

そんな時、今の彼はカウンター越しに、ここはこうしたら、あちらのお客さん対応しなきゃなどこっそりと僕にアドバイスをしてくれました。不慣れな僕にとって、とても助かる助言ばかりでした。この時点ではまだいい人だなと思っていただけでした。

彼は僕が店を開けるようになってから、ほぼ毎日お店に通ってくれています。もちろんお店を、前のマスターを慕っているからこそ来ているのはわかっていました。まだ世の中はコロナ禍でした。当然、お客様が全く見えない日もありました。そんな時は2人で色々な話しをしました。

そこで、今後のお店のことなどの話もしました。経済的に経営していけるかやお店の改善など話して、相談しながら改善できることは少しずつ改善してきました。そうしながら、少しずつお店を営んできました。

2022年の11月末、マスターである彼の調子が再び悪くなってきました。息苦しい様子を見ているのはとても辛かったです。次の受診で診てもらうと言っていたのですが、みるみる体調が悪くなってきました。12月11日の朝、救急車で運ばれて入院することになりました。

次の日、入院の荷物を病院に持っていったとき、看護師さんから特別に面会していいと言われました。コロナ禍だったので、面会できないと言われてたのにどうしてだろうと思っていたら、状態が悪く、面会できることになったのです。病室に入ると、彼はとても息苦しそうな様子でした。

僕が動揺していると、彼が声を振り絞って声をかけてくれました。僕のことをとても心配してくれていました。頑張って生きろよと声をかけてくれ、涙が止まりません。彼は自分の死を覚悟していたのかもしれません。その日の夕方、彼は息を引き取りました。彼のお通夜には多くのお客様が顔を見せてくれ、彼の偉大さを感じた瞬間でした。告別式は、家族葬で執り行われました。彼との別れの実感がなかなか湧いてこないのが正直なところでした(それはいまもですが)。


彼を送り出した数日後、お店を再開したのですが、それからも今の彼はお店に来てくれました。冬の雪の降りそうな寒い日でも、顔を出してくれ、話をしてくれました。当たり前に思ってしまうほど、彼は毎日お店に顔を出して、落ち込む僕を見守り、ときに励ましてくれました。

そんな感じでお店で毎日顔をあわせていましたが、休みの日にも食事したりするようにもなりました。あまりしゃべらない自分の話を引き出そうとしたり、彼からも色々話ししてくれました。亡くなった彼のことは常に頭の中にあるけど、彼のことも少しずつ気になっていきました。彼も僕といることに悪い気はしなかったようでした。

それから数ヶ月経ち、ふと振り返ったときに、どん底の時に支えてくれたのは彼だと気が付きました。普段は飄々としたタイプだけど、とても気を遣ってくれます。そんな彼と過ごす時間があったことで、僕はお店を継続できているんだなと感じました。今でもお店で気になることは注意もしてくれます。

彼の支えがあるからこそ、自分は19年連れ添った彼が亡くなってもなんとか生きていられるのです。いなかったら、お店も続けていられたかも、わからないし、精神疾患も抱えているのでどうなるかわからなかったです。こんな僕を受け入れてくれた彼には感謝しかないです。これが僕が今の彼と付き合おうと思った理由です。

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