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ファイターおばあさんその2 女塾

介護施設で勤務していると、いろんな人に出会う。

とてもアグレッシブな江戸っ子おばあさんがいる。

少し認知症をお持ちである。

車椅子で生活しており、出会いがしらによく

「あんた!可愛い顔してるね!うちの息子に会わせたら無理やり襲いかかるだろうから、うちに呼んであげたいけど無理だね。うちの子、男の子だから女の人を見境なく襲うだろうからね。私、去年梅干し漬けたのよ。うまく出来てるからあんたにあげたかったんだけどさ、今度息子のいないときにいらっしゃいね!」

どんなドラ息子だろうと思われるだろうが、この息子さんは超がつくほど紳士で穏やかで優しい方なんだけどな。

このおばあさんがトイレに行きたいと言った。

トイレのウォッシュレットを使いたいとのこと。

自分で操作が出来ないので、私が「おしり」と書いてあるボタンを押す。

ブーンとノズルの音がし、シャーっとシャワーが出てきた。

おばあさんは白目をむきながら、電気椅子に座っているかのような、拷問にあっているかのような叫び声を上げる。

「あがあがうげごが‼️出てきた‼️お湯が‼️出てきたぞ‼️うごうがああああ‼️お湯‼️出てるぞ‼️ああーーうえがごごごがえー‼️」

私はもうこの光景に慣れてしまったが、初めて見た時は、あわててウォッシュレットを止めて

「大丈夫ですか!」

と焦った。

このおばあさんはウォッシュレットを使う時は、いつもこのリアクションだ。

私はこのウォッシュレット中、ドアの影に隠れて笑いをこらえる。

「あぐぐががうぐぇぇー‼️…おわり!お姉さん、ボタン止めて‼️おわりだってば‼️ぐぐぐごごごがうへぇー‼️止めてってば‼️」

ウォッシュレットを止めて、トイレから出る。

「ありがとね、あー、いい気持ちだったよ」

そうですか…。

おばあさん複数人がくつろぐリビングへ戻る。

認知症をお持ちのおばあさんが小走りで私の前に来る。

「飛び出し禁止区域に行って、飛び出ししてくるからね」

私も一緒に行く!と言い、おばあさんと手を繋いで歩く。

楽しいな。

みんなしてファイターだ。





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