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②第3話 離婚後の「うらない」

「えりちゃんついに別れたんだって。彼氏、お金をずるずる借りていって、合計100万くらい貸してたみたい。本当クズ男だから別れてよかったー。」

・・・あれ?

私は、妻からお金を借りてたかな?

でも、結果別れられてるので、やっぱりクズ男だったのだろうか?


「ゆきちゃんの彼氏、浮気して新しい恋人ができたのに、ゆきちゃんの家を全然出ていかなかったの。だから、ゆきちゃんが引っ越し費用支払って、追い出したって。本当、みんな最悪。」

・・・あれ?

最近、似たような現状を見た気がする。

目の前のあなたも近いと思うのだけど、私が間違ってるのだろうか?


離婚してからも、元妻は、元妻だった。

肝心の自分の話になると、話はうまくいかなくなるが、それ以外の生活については、まるで離婚していないかのように、続いていった。



「そうそう。私、改名しようと思うの!」

これはまた、難易度の高いボールが来た。

なんて返答すればいいのだろう?

私は、ただ、話を聞くことにした。


どうやら不倫相手と結婚した場合、姓名判断的に良くない画数となるらしい。

彼女は、占いが大好きだった。

私と結婚する前も、一緒に占いに行ったのを覚えているし、私と結婚した後も、ひとりで定期的に占っていた。


占いか・・・。

彼女が改名することも、苗字が変わってしまうのも、もはや私の管轄外のことだが、たまには、私も自分以外と対話をしてみたいと思っていた。

基本的に、占いは信じていないのだが、ちょうど良い区切りだし。と、思い、私も久々に占いに行ってみた。


占いの結果は、以下の通りだった。


・旦那のハートが女子。

・こじらせ婚→旦那はわかりにくい・扱いにくい。

・「好き」という感情をよくわかっていない。

・困っていたら、最後に絶対助けてくれるが、それまでは、一度様子見をしてしまう。

・物質的なものより精神的な成長・向上心・高みを目指す。

・背中合わせでそれぞれの好きな本を読んでいたいタイプ。

・自立的な愛情を目指している。


これ、占いかな?

お金を払ってるのに【「好き」という感情をよくわかっていない】って、どういうこと???


ただ、内容自体は私の思想にかなり近い。

自分で自分の都合の良いように記載してるのか?と、疑われてもおかしくないほど、ピッタリだ。

占いには、タロット・手相・姓名判断など様々な方法があるが、この占い師は、ほとんど私と対面で話してるだけであった。つまり、ほぼ自分の直観で話している。このタイプのほうがむしろ信用できるかもしれない。


言われて気づいたが、ここまでの話を聞く限り、どう考えても「私が女子」で、「妻が旦那」だったことに笑った。


お酒が好きで、家に帰ってこないで、不倫をして家を出ていく妻。


家で妻の帰りをひたすら待つ私。


昭和の家族みたいな構図である。

性別が逆になっているのが令和らしさだろうか?


占い的には、今年の開運に必要なことは「断捨離」らしい。

私が、妻を、捨てたことになるのだろうか?

どうみても、捨てられているのは、私だけれど…。



そうこうしているうちに、月日は過ぎていく。

心配をしていた新居もどうやら目途がついたらしい。

不倫相手のお金の工面がついたので、あとは、保証人を探して申し込みを完成させれば、元妻は、とうとうこの家を出ていくことになる。

入居日は、4月15日。

いつまでも続きそうな同居人生活も、気づけば10日足らずとなっていた。


結婚する前に、妻と一緒に行ったあの占い。

そういえば、あの時なんて言われたんだっけかな?

確か「相性いいですよ」とか「幸せになれますよ」とか言われたような気がする。


今日の占いは、「離婚したほうが人生幸せになります」だって。

占いなんて、やっぱり、信じられるものじゃないかもしれない。



ただ、見方を変えれば、結婚した5年間が幸せだったのも事実である。

ひとつの事実を、どう受け止めて、どう解釈していくかは、自分次第だ。

運命なんて、自分の気持ちひとつで、いくらでもかえられる。

この離婚を幸せなものに「する」のは、自分次第だろう。


この日は、占い結果を笑い話に、私は妻と久々に楽しい時間を過ごすことができた。

短いけれど、確かに幸せな時間だった。

占いなんて、案外、信じられるものかもしれない。

これから、幸せになるような気持ちになった。


次回 第4話、離婚後の「フラッシュバック」

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