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眼鏡をつくる ~第一回~

眼鏡の企画販売会社である私たちが、リスペクトしてやまない、パートナーであって大先輩のような、大切な存在である眼鏡製作の職人たち。
彼らに会うと、いつもひょうひょうと明るく、一般的なイメージにありそうな頑固な職人魂がにじみ出ているような風格はあまり見受けられません。

しかしながら、仕事の話になると、あふれ出んばかりの情熱が、彼らに染みついている知識にのって放たれます。
そのギャップには毎回新鮮な驚きがあります。

眼鏡の中でも最も人気を得ているセルロイドシリーズの製作には、熟練の職人にしか出すことのできない感覚的な作りこみや繊細な作業を必要とする工程がいくつもあります。

本日、第一回目として、セルロイド製眼鏡の生地裁断から、ある程度の形になるまでの工程の中に見える、職人たちのプロの魂を、写真とあわせてご紹介したいと思います。

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眼鏡はもともと、形になる前は一枚の大きなプラスチックの板です。その一枚の板を裁断するところから、すべてが始まります。

プラスチックの一種「セルロイド」は、艶めきやフィット感、形状保有力に優れていて、眼鏡にとても適した材質です。

その一方で、170度という低い温度で発火する危険性が伴います。
よって、機械化はできず、取り扱いはもちろん、管理することにも知識を要する、特別な生地です。

私たちが信頼をおいて長年製作依頼をしている、セルロイド生地を取り扱う職人さんの作業場には、常にたっぷりと水が張られたバケツが、ところどころに置かれています。
万が一の備えだといいます。一週間に一度水を張り替える度に、気を引き締め直し、備えを意識するのだそうです。

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また、生地を削る際に出る削りかすや破片なども、その都度綺麗に掃きとり、リセットします。年季の入った作業場ですが、隅々まで手入れが行き届いている様子からもプロの仕事を感じずにはいられません。


眼鏡のサイズに切り出された生地には、この時点で緩やかな湾曲がつけられます。
高温のオイルの中に生地を入れ、加圧。
そして即座に冷却。真っ直ぐだった板全体に、綺麗な湾曲がつきます。

もちろんこの作業も一枚ずつ手作業で行われ、高温のオイルへの生地の出し入れも素手で行います。その時のオイルの状態や生地への浸透具合などを肌感覚で確かめます。取り出すタイミング、加圧する時間などすべてにおいて感覚がモノを言う作業です。

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湾曲が施された後は、型抜きの作業に入ります。
内径を削り、外径を削ると、ようやく眼鏡らしいフォルムが姿を現します。
手作業で、直接生地に触れることで、その日の生地の状態がわかると職人さんは言います。その手の感覚が、後の眼鏡の出来栄えを左右しているのです。

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眼鏡の枠の形が表れたところで、鼻パットの原型となるものを枠につける作業に入ります。
この作業こそが、まさに感覚と技術の賜物です。

この時点で鼻パットの原型を取り付け、その後さらに削り、形を整え磨き上げる作業を行います。この工程もこだわりポイントのひとつです。(通常は眼鏡が出来上がる直前の最終工程で、既製品の鼻パットを取り付けることがほとんどです)

眼鏡の中で最も重要な部分である鼻パットですが、取り付ける位置にマニュアルは存在しません。
上下の距離、左右のバランス、角度調整、そのすべてを数十秒という時間の中で完璧に仕上げます。フレームの形が違えば、当然ながら鼻パットの位置や角度も違います。長年の経験と、手が覚えた感覚だけで位置を定めます。

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作業場の一角で、床に直接敷いた座布団の上に正座する職人の姿は、女性でありながらも貫禄がにじみ出ており、かっこよささえ感じます。

その手で整え、生み出した眼鏡で、どれだけの人の心をつかみ、感動を与えてきたことか、考えるほどに心がじんわりと温まる感覚を覚えます。

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▲鼻パットの原型が定位置に取り付けられた(この後さらに削り込み、形を作っていく)

「眼鏡をつくる ~第二回~」へつづく


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