自営業を志す人へ/後編

「人脈をつくる」ことに重きを置く方がいます。決して間違いとは言えないのですが、人脈をつくるという行為のどこかに「他者への依存」の気持ちは含まれていないでしょうか?私も駆け出しのころは異業種交流会などというものにお誘いいただき、いくつか参加させてもらいました。たくさんの名刺を交換し、お互いの事業について自己紹介し合う。私も含めておそらく参加の目的は「ビジネスパートナーづくり」ではないかと思います。しかし、私のようなものが参加しているということは、後の方も事業者としての内容や品質は差異がないのではないかと、個人的な気づきを得たのは1年目のことでした。そんなところに易々と顧客創出の芽があるとは思えません(個人的所感です)。時間ばかり取られる邪な人がいないとも限りません。

③「誰かに見つけてもらう行動は必要」です。これも個人的にですが、闇雲な人脈はいらない。しかし、自分を見出してもらう縁は手繰り寄せなければいけないということです。私はこれまで営業活動はほぼやらずにここまで来ました。事業軸(自分の得意独自分野として営業に関することと採用含む組織づくりのこと)の研鑽を続けながら、もちろんエラーもありながら、信頼いただけるところで成果を出し、次の方、次の方と紹介いただくようになっていったのです。これは創業5年目くらいから顕著となりました。やがて、企業から企業へというご縁から、企業が所属している団体へと波及し、行政の仕事も舞い込むようになりました。セミナーに呼ばれると、聴講いただいた方からの引き合いは必ず出てきます。セミナー講師は目指すものではなくニーズに応じて成っていくものなのだなと実感しました。そうこうしながら5年以上のお付き合いの顧問先には関与内容の深度が進むので、責任は伴いますがお応えすればまたそれが信頼関係となっていきます(前項中盤での研鑽し続けるということがこの作用にリンクします)。もちろん多くの方がされているように広告宣伝も大切ですし、なんらかのメソッドを学んで地域に波及させることも手段だと思います。しかし、CS(近頃はsatisfactionではなくsuccessのようです)をクライアントに実感いただかないことには続いていかないですし拡がりません。答えは常に向こう側にあるのです。

ですから、自分の勝負できる武器を見出してもらうことがとても重要と言えます。安売りする必要はないですが、例えば少額のお取引だったとしても私と出会ってよかったと思っていただけるように尽くせたか、難しく手間のかかりそうな仕事でもご指名いただいた理由をよく考えてお受けできるかどうか、はたまた、この案件は自分ではないなと判断した場合に、別の協力先を紹介できるかどうか、ひとつひとつの判断が、次のお客様を創っていくものだと思います。地元の実力者に見出してもらうということではなく、相手の関わりに真摯さを感じる出会いがあった時に、全力でその方を下支えできるかどうか、そういうことかなと思います。

人に、社会に自分の存在や取り組みが「役立った」と感じていただけると儲かります。いまひとつ売上げや利益がついてきていないときは、まだ自分自身が「役立っているとは言えない」ということなのだと考えます。でもそんな苦労も見ている人が必ずいるもの。浮き沈みはあって当然。ダメかな・・と思う前に行動すべきだと思います。迷ったときに難しい選択をしていけば大体は正解だと思います。計画通りになんかいきません。気づいたら前あった大問題が解消されている、それが自営業を始める人の進捗目安かなと思います。

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