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スマブラステージ【AD.1830.沼の主】

 ワニガメ(学名Macrochelys temminckii:爬虫綱カメ目カミツキガメ科ワニガメ属)は北アメリカ大陸南西部の泥の多い水場に好んで生息する、体長1m以上体重100kg以上まで育つ大型の亀です。

 ワニガメはなんでも食べる雑食性の動物で、鋭い嗅覚を持ち、首に生えているトゲが水流の微妙な変化を捉える感覚器となっています。これらを活用して獲物の位置を把握し、首を素早く動かし噛みつきます。
 噛みつく力は300~500kg以上でライオンの噛みつき以上の威力を誇り、貝、亀、カニ、ヤシの実などの硬い殻を噛み砕いて捕食することができます。甲羅はゴツゴツと隆起し岩に擬態する効果を持ちます。


 このスマブラステージではワニガメの口と甲羅が動き、ワニガメに噛みつかれると大ダメージを受けることになります。

・付録 近世~近代の啓蒙思想
 全ての人間に備わっているとされる理性(知性)を高く評価し、理性に基づいて物事を捉える理性主義は古代ギリシャで発展し、古代ギリシャの流れを汲むヨーロッパでも理性は重視されることになります。
(古代ギリシャについてはこちらをご覧ください↓)

 時は進み、17~18世紀のヨーロッパでは啓蒙主義が勃興しました。啓蒙とは光で闇を照らすことで、曖昧で何も分からない闇に包まれたような世界を、理性や知性という光で検証して普遍的な真理、世界の根本法則を明らかにするという意味合いとなります。

 普遍的な真理を得るために、個人の主観ではなく誰にでも再現可能な方法、実験や観察によって自説の正しさを証明するという方法で自然物の法則性を見いだす学問である自然科学が発展します。法則性を見出すためには鉱物、植物、動物など自然に存在するあらゆる物のデータが必要で、自然界の物を集めて分類する学問である博物学が発展しました。

 ヨーロッパにおいて動物の分類は古代ギリシャのアリストテレスの分類法が1000年以上にわたり使われていましたが、顕微鏡によって肉眼では見えない微生物や細菌が見つかり、大航海時代になってから未知の動植物が多数発見される中で分類の見直しが進みました。18世紀に生物学者カール・フォン・リンネは動植物を「綱」・「目」・「属」・「種」の階層に分けて体系化するリンネ式階層分類体系を構築し、動物の学名のつけ方を体系化しました。リンネの分類法と学名のルールは広く普及し世界のスタンダードとなります。

 古代の世界では特定の動物を神の化身、神の使者として神聖視する動物崇拝が広く行われていました。

 しかし、啓蒙主義において根拠が証明されないものは迷信、迷妄として否定されることとなり、かつては神獣として扱われた者もただの動物として博物的に分類されることとなりました。

 人間においても、国を治める王は神の化身、または神から支配権を与えられたので国を治める権利があるとする王権神授説が世界各地で信じられていました。
(中国における王権神授説についてはこちらをご覧ください↓)

 しかし、神から王へ統治する権利が与えられたことは実験や観察によって証明できず、ジョン・ロックなどの啓蒙主義者は、統治者は国民からの承認によって統治する権利を得られるとする考え(社会契約説)を説くようになりました。啓蒙主義は合理的な根拠のない身分制度も否定し、それまで特権を持っていた貴族もただの人間であるとしました。

・フランス革命と近代の夜明け
 18世紀のフランスでは、宮廷貴族の横領が当然の権利とされ、貴族と聖職者は納税を免除される特権を持っていました。不満を持っていた平民(納税者)は1789年のフランスの財政危機をきっかけに武装蜂起を起こして貴族の特権の廃止を認めさせ、遂には国王ルイ16世が平民に処刑される事態になりました(フランス革命)。
 混乱状態のフランスで軍人のナポレオンが台頭し、ナポレオンは巧みな戦術でヨーロッパ諸国を制圧していったものの、1812年のロシア遠征に失敗してほとんどの軍勢を失い、1814年に王政が復活し1815年にナポレオンは孤島に追放されました。

 その後の15年間のフランス復古王政で、貴族の特権が部分的に復活するも、1830年の財政危機をきっかけに再び革命(7月革命)が起こり王(シャルル10世)が追放され、新たな王(ルイフィリップ)が擁立されるも、1848年の2月革命によってルイフィリップも国外へ亡命し、フランスの王政は今度こそ終焉しました。

 ナポレオンが一時期ヨーロッパのほとんどを征服した時に、フランス革命の思想、すなわち国民が主権者である。という考えがヨーロッパ全域に広まり、1830年7月革命以降に東ヨーロッパ諸国(現在のドイツ、オーストリア、ハンガリー、イタリアなど)でも王政を打倒、もしくは王権を制限するための市民の武装蜂起が相次いで発生し、1848~1849年に最盛期を迎えました(1848年革命)。その多くは鎮圧されたものの、旧来の王権と市民の権利はその後も対立し続け、王権は確実に弱体化していくことになります。
 アジアにおいても古くから続いた社会形態を科学的、民主的に変化させる近代化が進行することになりました。


 このスマブラステージでは、かつては神だったかもしれない亀の力強さをお楽しみいただけます。

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