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きみのお金は誰のため  田内学

1 お金自体には価値がない。
2 お金で解決できる問題はない。
3 みんなでお金を貯めても意味がない。
17ページ~

お金の価値を改めて考えさせらます。
大富豪がお金の本質を若い2人の男女を相手に、真摯に丁寧に語り合いながら教えてくれる愛に溢れた物語。

会社に勤めてる人、商売されてる人も利益の追求という現代の通貨制度では普遍的なことに埋没してるのが大半ではなかろうか。

そこで儲かった利益を皆で分け合って、己が食べてく為に、愛する人達を養ってくためってのが通常モード、なのにあまり深く考えずにいたりして、一歩踏み込んで考える良いきっかけになる一冊だと思う。



経済教養小説。

中学2年生の佐久間優斗と外資系銀行員の久能七海が、錬金術師と言われる資産家のボスからお金についてのレッスンを受けお金についての認識を深めていく、会話中心、物語仕立てで進みます。

お金がどうやって今のような価値を持つようになったのか、歴史的な背景や側面も説明されており面白い。
お金に対して発行する側、利用する側では捉え方、感じ方が違うというのも新鮮。
お金自体に力があるのでなく選ぶ力があるだけなど。

値段と価値についての原理原則は言われてみて改めて気がついた。

・お金が商品に変わるのでなく、自然資源にたくさんの労働が結びついて商品が生産される。
・お金は動いてるだけで全体のお金は増減しない。
・現代における税金は支配者による搾取でなく再分配に使われる。
・僕たちの範囲を広げる。家族、友人、同僚、日本国民、世界の人々全体、過去や未来と連綿と繋がる全てが僕たちになり得る。

隣の芝生と比較しては、己の財布の中身と預金残高を気にしがちな昨今、もう自分さえ良ければってのをやめましょう!と警鐘ともとれる。

50を過ぎてお恥ずかしいがどこか先輩方を少し恨む気持ちもあった。
高度成長期に国家威信の大プロジェクトがたくさんあり、その恩恵を十分に受け取っただけでなく負の遺産、借金を残してくれたことに対する嫌悪感だ。
読み進むうちに先人の借金を我々が背負ってる事実は物事の一面であることは理解できた。
先輩方の借金(国債)を何で背負わされるのかと、理不尽だと感じていたがその借金は誰かの賃金として払われていて、その資産は子供たちに贈与されている。
さらにその借金により作られたインフラの恩恵を受けて、今の豊さが保証されていること。
政府が掲げている増税理論は至極当然、むしろ増税に反対する理由はなく、富の再分配やインフレ促進の観点からは必要だとは思うとこもあるが。

若い人達はどう考えるだろう?

全てOKという気持ちとしてはあまり・・だが

経世済民、お金はあくまでも手段であり、人の役に立ち、助け合い、繋がり合う社会を作っていくことが大切。

労働=お金を稼ぐためと考えていたが、労働により何かが作られたり、誰かの悩みを解決したりして、広い世界が繋がっていく。

貧富の格差は確かにあるが、ただこれは偏在してる状況であり、現在の暮らしぶり、特に日本においては皆がスマホを片手に、車や白物家電は誰もが持つことが出来て、人の格差は表面的には縮まってるとも感じる。

AIの導入で仕事が減るならば新しい価値ある仕事を作ればいい、これは成熟社会の最大にテーマだろう。

アフリカのコソボなど途上国への金銭や物資支援は成長や発展を妨げることになる、ただ現地の生活基盤を土台から作りインフラを発展させる方向性での支援が必要だと思う。

お金の使い方、稼ぎ方、動き方を今こそ一人一人がよく考える時だとあっという間の読書タイムでした。

良書です。



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