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代名詞を使いたくない

できるだけ代名詞を使わないようにしています。代名詞とは「あれ」とか「それ」とか「彼」のことです。

小説を書く際に、可能な限り代名詞を排除して元の固有名詞を使うようにしています。
どうして代名詞を使わないかというと、読む人にとってその方がわかりやすいと思うからです。せっかく読んでくれる人に負担をかけたくないですよね。
代名詞だと、どんなに上手に使っても、「彼女って誰だっけ?」と瞬間的に読者が迷う気がするので、読者を惑わせるぐらいだったらそのままずっと本名を書き込んだ方が良いと思ってしまいます。

とは言っても、同じ語句が重複する文章は美しくないので、それも避けたいですね。
登場人物名の場合なら、同じ段落に使う名前はひとつだけにしています。段落の最初の主語がその登場人物なら、段落を変えるまではその名前を重複して書く必要がなくなります。主語が変わるときには段落を変えます。

固有名詞ではない普通名詞なら、語句を言い換えれば重複をせずに代名詞も使わなくて済みます。
最初に「電車」という語句を使ったら、次は「車両」や「車内」を使って表現すれば、OK。自分で思いつかなければ、類語辞典を使って調べます。
でも、類語辞典の語句って、なんかしっくり来ないことが多いんですよね。なんだか生きている言葉じゃないような。
適当な言葉が見つからないようなら、その文章ごと排除することもあります。言い換えがないということは、その文章自体が小説に合っていないと思うので。

代名詞を極力排除したいと言っておいてなんですが、登場人物固有の名前もなるべく使わないようにしています。「鈴木太郎」さんとか「山田花子」さんとかですね。
矛盾しているようですが、これも読者の負担を軽減するための処置です。
登場人物名を覚えるのって面倒じゃないですか? 自分は小説内の人物名を覚えるのが苦手で、本を読んでいて久々に現れる人物を氏名で書かれても、「あれ? この人誰だっけ?」となることが多いです。
自分が苦手だから、脇役の人には人物名を与えないことも多いです。その場合は、「叔父さん」「叔母さん」「マスター」とかの用語を用います。代名詞が嫌いとっておいてなんですが、固有の名前をたくさん出すよりは関係性が明確になってわかりやすいのではと思います。
どうしても代名詞で処理できない場合は、あだ名をつけます。「社畜女」とか「マッチョ男子」とか。あだ名の方が読者がイメージつきやすく、忘れないでしょう。

代名詞を使うのか人物名を使うのか、ひとつの文章に1時間悩むこともあります。
そんなに苦労しても、読者の多くは気にしないでしょうから、自己満足の世界かもしれませんが。あ、「そんな」も代名詞だ。


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