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最強のラテン音楽を求めて|掃き溜めに鳩 バチャータ編|Liner-note

ファン・ルイス・ゲラ/Juan Luis Guerraに“バチャータ・エン・フクオカ/ Bachata en Fukuoka”って曲があるらしい。全然知らなかった。

公演で訪れたゲラを迎えた福岡のラテンラバーズのみなさん=祖国のバチャータやメレンゲを踊って楽しんでいる人が、Tokyoではない地方都市に結構いるんだというサプライズに触発されてつくった曲だと言われている。ゲラのご威光があるとはいえ、ビルボードHot Latin Tracksチャートで1位を獲得したらしいから、二度ビックリ。

ゲラは1984年にデビュー。1990年に大ヒットアルバム『薔薇のバチャータ/Bachata Rosa』を発表した。この90年代が彼および彼のバンド4.40 クアトロ・クアレンタが最も旬な時期だったと信じる。

では聞いてください。ギターアレンジが鬼美しい“パロミータ・ブランカ(白い小鳩)/Palomita Blanca”です。


ゲラはサントドミンゴ自治大学で文学と哲学を学んだのちに、サントドミンゴ国立音楽院、そしてかのバークリー音楽大学(ジャズ編曲について研究)に留学した。彼らが一時期プロテストソングにハマったのも、これらの経歴をみるとうなずける。この曲にもさりげなく詩的断片が混入されていたりする。このインテリっぽさが彼の魅力だ。

次はドロドロの別離ソングをひとつ。モンチー・イ・アレハンドラ/Monchy y Alexandraの1999年リリース曲“オハ・エン・ブランコ(白紙)/Hoja en Blanco”です。


二人はプロデューサーによってペアリングされたいわゆる企画モノのデュオ。その最初の曲でスマッシュヒットをかっとばした。マイアミあたりから火がついたと記憶する。原曲がバジェナート(Los Diablitos)という出自も、情念的な仕上がりに拍車をかけているのかなと。確かにバチャータとバジェナートは親和性が高いね。なんかギターとアコーディオンの違いだけって気もするけど。

テキパキいこう。次はアレックス・ブエノ/Alex Buenoの“ケ・ブエルバ(戻ってきて)/ Que Vuelva”と、リカレナ/Rikarenaの“愛が傷つくとき/Cuando El Amor Se Daña”を続けてどうぞ。


前者はドミニカ共和国の田舎で生まれ、1990年代に“Jardin Prohibido”や“Tres Noches”などのヒット曲を持つ(あまり情報がない)。後者は以前に紹介したキニート・メンデスによって1994年に結成されたメレンゲのボーカルユニット。メレンゲ歌手がバチャータを歌うことはままあり、その逆も然り。

実はバチャータのアルバム一枚とおして聞くのは結構つらい。変化が少ないのと気持ちが滅入るのが理由。そのへんは、メレンゲもクンビアもランチェーラも大差なしだけどね。下手すりゃサルサだって飽きるもん。やっぱ変化は大事だよ〜

いちおうバチャータ(音はバチャタのほうが近い。語源=ゴミ説もあるらしい)/Bachataについて少し書いておくと、4拍子のリズムでギター中心の編成。メロディラインはメランコリックであまり抑揚がなく、歌詞の内容も大概は切ない。

ただ、1,2,3,4と数えながら横ステップを踏み、身体を左右に揺らすだけでいいので、踊るのは簡単。それもあってか、サルサが踊れないダメンズがこの曲のターンになるとはりきる。密着するのも下心がある側には都合がいい。

バチャータは意外と日本語の紹介サイトが多いので、気になる人は参考にしてみてはいかが。これらのサイト(上の曲より時代的に新しい)となるべくダブらないように選曲してみましたよ。


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