小説「マリンパークと男たち」 住野アマラ
私はサークル型の歩道橋の上からスクランブル交差点を見ていた。
たくさんの人が信号の変わるのを待っている。
街の出す音の種類変わり歩き出す人々。
黒の集合体の輪郭が滲む。
行きかう人波が一塊の魚群に見えた。
一斉に向きを変える魚たち。
銀色の横っ腹と小さなまん丸の目。
個々の意思ではなく、一つの生命体として生きる者たち。
彼らは出口の無い水槽の中にいるのだと気づいていない。
私も群れの中で、知らず知らずに向きを変え、知らず知らずに流されているのかも知れない。
私の家の近くに湘