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珍獣、アイロンビーズ職人になる㊤/おやこで通う小学校⑮


学校で見つけた“好きなもの”

珍獣(兄)は今、“あるもの”の虜だ。
その存在は、彼が登校するモチベーションとなっている。
わたしにとっても、母子登校から卒業するための鍵になるかもしれない。ニヤリ

“あるもの”とはずばり、【アイロンビーズ】

▷アイロンビーズ◁
穴の空いたプラスチック製のカラフルなビーズを、突起が一面に広がった専用プレートの上に並べて、絵柄を作成。
その絵柄の上からアイロンをかけ、熱でプラスチックを溶かすと、ビーズ同士がくっついてプレート状の作品が出来上がる。
絵柄は自由に創作してもいいし、既成の図案を参考にしてビーズを並べてもいい。

珍獣(兄)が在籍する特別支援学級(支援級)では、おそらく『手先の器用さを高める』などの狙いから、アイロンビーズが常備されている。
それを目ざとく見つけた珍獣(兄)が、「やってみたい」と言い出した。

「勉強」に取り組む自分なりの意義を、まだ見出だせず(←当たり前だけど)
「学校嫌い、行きたくない」と繰り返している珍獣(兄)。
そんな彼が、手織りのコースターに続いて、『好きなもの』を学校で見つけた瞬間だった。

「折り紙マスター」だった過去

初めて取り掛かったのは、絵柄ではなくアルファベット。
1文字を同じ色で仕上げることにこだわりながら、黙々とビーズを並べていた。

もともと彼は、筋金入りの折り紙マスター。( ゚д゚)ナンダソレ
保育園時代は、年中の夏から突如折り紙にハマりだし

園から帰宅するなり、玄関先で折り始め
お風呂に入る直前まで、脱衣所で折り続け
入浴後は、裸のまま折り紙を再開。
わたしと珍獣(妹)オケちゃんが、夕飯を食べ始めてもまだ折(以下略)

保育園の自由時間にも折っていたそうなので、つまり1日中、せっせと折り紙をしていた。
主に作っていたのは、『ヘラクレスオオカブト』。
100はくだらないヘラクレス達が、我が家の床を埋め尽くしていた。( ゚д゚)

けれど、さすがに折り飽きたのだろうか。
小学校入学とほぼ同時に、自ら

「折り紙はもう嫌いになった」

と、引退を宣言。
なにも嫌いにならんでも…(°灬° *;)オロオロ(* ゚灬゚)
わたしは、ちょっと寂しかった。
だから、今度はアイロンビーズ職人として、作品づくりに没頭する姿をまた目にすることができ、今とても嬉しく思っている。

しかも、コツコツ作り上げる喜びだけでなく
『アイロンの熱で溶けてくっつく』という化学変化にも、魅せられた様子。
これぞ折り紙からのステップアップ!ヽ(・∀・)ノ

そのうち、作りたい絵柄のイメージが膨らんだようで
1人1台配布されているiPadの使い方を教わりながら、画像を検索。
『いちご』を選び、ビーズを並べ始めた。

つい、職人にちょっかいを出してしまうD君

…しかし、職人の仕事を邪魔する者が登場。
珍獣(兄)と同じ支援級の1年生、D君だ。
彼は陽気で、ちょっと寂しがり屋(に見える)な男の子。
1人で行動したり、作業したりするのが性に合っているものの
他人に興味がないわけではなく、むしろ友達のことが大好きで
大好き過ぎて、コミュニケーションを取りたい時に限って相手にちょっかいを出してしまう。

(なんて不器用な男なんだ…!(๑>ᴗ<๑)キュン)

その振る舞いは、わたしから見ると可愛いのだけれど
並べているビーズをひっくり返された珍獣(兄)はたまったもんじゃない。
「Dがビーズ壊した!!」と先生に申し立て、
それでも怒りが収まらず、「Dなんか大嫌い!!!」と怒り心頭だ。

D君はきっと、ここ(支援級)でゆっくり、友達との関わり方を学んでいくだろう。
珍獣(兄)も、『いろんなひとがいる』という世の中の大前提を受け入れながら
自分の気持ちと、折り合いを付ける術を身につけていけたらいい。

そう願っている。


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