見出し画像

「あなたが幸せなら私も」って気分に1ミリもなれない話

当方31歳。
久しぶりに、恋をしました。
なんと高校生ぶりのことです。

以来10年以上も恋をしなかったのに、恋に落ちる時というのはあっけないもの。
逆に、今までどうして何も発動しなかったのか不思議に思えてくるから、人生って面白い。

でも10年以上ぶりの恋は、残念ながら100%実りません。

男の自分が恋に落ちた相手も、男だったからです。

より正確に言えば、自分はゲイ男性で、相手はストレート男性。
あいにく自分は相手の射程圏外にいる。
せっかく久々に恋をしたというのに、なんというひどい話……。

問題は、恋が実らない宿命を知っているくせに、彼から特別扱いされたいとずっと思っているし、彼が別の人と楽しそうに話しているのを見ると、一丁前に嫉妬したり、悲しくなったりすること。
この一連の新作『シリーズ・完全矛盾』が、見てられないほど惨めでつらいのです。

ただ、苦しみの中で気づいたことが、ひとつだけあるとすれば……。

失恋した時の定番のセリフである
「あなたが幸せなら自分も幸せ」という言葉が、
まあ、本当に笑っちゃうほど何の慰めにもならないということです。

実際は、ぜんっぜん違う。

たとえ相手が幸せでも、自分が幸せでなかったら、そこにあるのは

「幸せな相手と、ただ相手に尽くして疲弊している自分」

しかも、こちらから告白しない限り、相手は自分が気を揉んでいることにさえ気づかない。
相手は、自分が内心どう考えようが、それとは無関係に、そもそも自立して幸せなんだもの。
客観的に見たら、私、めっちゃ道化じゃないですか。

でも、片思いモードのとき、幸せな相手の中にあえて分け入っていくよう心が駆り立てられる。

関わりを止めたくても、止められないで、1時間くらい悩んだ末に、「また会えて良かった」というメッセージを送ってしまう。

そういう時、「あなたが幸せなら」とかは全く考えていなくて、結局「自分の心が駆り立てられるから」の一言に尽きる。
それって、自分のエゴのなせる所業としか言いようがないですよね。

「あなたが幸せなら私も幸せ」と言えば利他的に聞こえるけど、恋愛中の自分は「あなたが幸せをくれたら私も幸せ」という自己中人間でしかない。

で、結局、「あなたから幸せをもらえるよう頑張る」という感じになる。

あれ? こんなはずじゃなかったのに、31歳。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?