見出し画像

法廷で銃をぶっ放す! ~娘を殺された母親の復讐~

どういうきっかけかはわからないが、スマホを見ていたら、白いコートを着た美しい女の人が、無表情でポケットから銃を取り出し、続けざまに発砲、周囲の人に止められる動画が出てきた。

その姿が、氷のように冷たく美しく板についていて、いったいなんて映画なのかと思ったら、現実の出来事だった。

マリアンネ・バッハマイヤー。1981年に、7歳の娘が強姦殺人の被害に遭い、第3回公判の際、犯人の後ろから8発発砲し、6発の銃弾を撃ち込んで殺したドイツのシングルマザー。

犯人は、過去に何度も児童虐待で捕まっており、去勢を条件に釈放されるようなクズだった。しかも、去勢後にホルモン剤で性欲を回復。反省など全くないこのクズは、とうとう強姦殺人事件まで起こす。

それだけでも、死刑で良いだろと思うが、何と公判中に自分の犯行を被害者のせいにするという、母マリアンネにすれば許し難い言動もあった。真正のクズだ。

当時のドイツではすでに、死刑は廃止されていた。
いつも思うが、人様の人権を侵害した人間の人権の守られるというのは、まったくもって奇妙な話だ。

たいていの人は、犯罪内容の割に刑が軽いと思うと、裁判官がおかしいと言ったりする。(中には、司法関係者も首を傾げたくなるような判決を下す裁判官もいるようだが…)

でも実は「それは法律を改正してくんないと、裁判官もどうにもできないんよ!」というパターンが、ほとんどなのだ。裁判所は司法機関であり、法律を作る立法機関は国会だ。

私は法律・法学を勉強したことがあるし、実際の裁判にもちょっと携わったことがあり、法治国家では現行の法律に基づいて人を裁くことしかできないことは、重々わかっている。頭では。

でも、心では冤罪でない限り、故意で起こした犯行…虐待・強姦・殺人・いじめなどは、ハムラビ法典で裁けばいいと思ってしまう。(いじめはいじめではなく、虐待か傷害罪と呼ぶべき)

そんなことを口にすると、多くの人は眉をひそめるが、私にはそれの何が悪いのかが、わからない。特に、虐待・強姦・いじめをする人間は、反省しない者が多い。

思考に大きな偏りがあり、通常は矯正が難しい…同じ目に遭えば、少しは被害者の苦しみもわかるかもしれない。いや、中にはそれすら逆恨みする輩もいるだろう。絶望的だ。

マリアンネが、娘を殺した犯人を撃ち殺した気持ちは、痛いほどわかる。私はよほど残酷なのか、銃でほぼ即死なんて、楽に死に過ぎだと思ってしまう。被害者と同じ目に遭わせてやれと。

子供達にその話をしたら「ママ。そんなことしたら、犯人と同じになっちゃうんだよ」「刑を執行する人が、気が狂っちゃうよ」「殺したって解決にはならないよ」「犯人のために殺人犯になるの?」などなど、反対意見が続出し―—不肖の母から、よくできた子供達が産まれたもんだ……

マリアンネは、事件から15年後にすい臓がんで亡くなり、娘アンナと同じ墓に眠っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?