で、あなたは読書から何を得たいの?──『読んでいない本について堂々と語る方法』読書感想文
「本を読んだ」って、何をもって言えるんだっけ?
って、本好きな人が、一度はぶちあたる課題だと思うのですが。
この本はそのテーマについてあらゆるアプローチを網羅してくれています。
本好きな人読んで。
全編通して、徹底した作者の道化っぷりが清々しいです。
書籍データ
要約と感想
章名を辿っていくと、どんどん著者の論理がぶっ飛んでいくのがわかると思います。楽しい。
※この記事の見出しは、本書の章名をそのまま流用しています。
ぜんぜん読んだことのない本
時代、ジャンル、テーマなどなど、
"体系"の中でその本の位置を捉えられれば、(ちゃんと読まなくても)自ずと内容が把握できる。
ざっと読んだ(流し読みした)ことがある本
"ある本"というミクロの対象に向けた特定の視点が、広範な視点での考察の妨げになる。
なので、逆にマクロの視点(他本の傾向)から見ると、「この時代にこういうテーマで書かれた書物は自然こう言う主張・論調になるだろう」と類推することが可能になる。
→そこにいきつくには、それなりの知識と教養が必要ですけどねっ!
→この部分、「たしかに」ってなる笑。読んでいない本の量にたまに呆然となりますね。
読んだことはあるが忘れてしまった本
読書とは、身に染み込んだら忘れるもの。
いつの間にか、本の言葉や知識は自分の中で咀嚼され、消化され、自分と同化していて、その時点で「本を読んだ」の記憶は不要になるので忘れ去られる。
→私のこれまでの読書体験に近しいのがこれ。
愛する人の前で
その本の感想について、無理矢理他者と認識をすり合わせられると思っているの?──そんなことありえない。
→妄想をすり合わせているだけと考えたら、本を読み込む必要もないんじゃない? という論旨。ほんと愉快。
→余談ですが、この映画、主人公が同じ一日を繰り返すことによって自分だけに向いていた意識を他者に向けるようになったことで、それがハッピーエンドへの突破口になるそうな。
いい教訓。自分のためだけを考えた行動から得られる幸せには限界値があると、私も思います。
気後れしない
著者を知れば、その本が知れる。
完璧な教養というイメージから自分を解放せよ。
本をでっち上げる
本についてありのままの主観を述べて何が悪いというひらき直りまできた笑
自分自身について語る
想像も、突きつめれば創造。
→→→(最終章だけでなく全編通して)書いてあることは一見もっともらしいのだけど、冗談と詭弁が入り混じっていて……でもなんとなく「わかる!」ってなるのが高等テクニックだなあと笑
清水義範さんだったかな? 昔読んだエッセーにあった「究極の書物をご覧に入れます→50音表ってオチ」を思い出しました。
本を読むって、それ自体は高尚なものでもなんでもなくて、結果自分が何を得たいのか・したいのかが大事なんだよなあ。
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