書籍データ
感想
これぞ比較文化人類学の骨頂。
第二次世界大戦後すぐの発行。現在との間に時代差はもちろん生じてはいるが、「日本人自身」では絶対に解明できない日本人像鮮やかに言語化されすぎて、目が覚める。ああ、そうかって言われたから腑落ちするところが本当に多い。
「来るもの」への対処
死は選び取れる最大の「名誉」
第二次世界大戦時の日本人の行動原理は、アメリカにおいてここまで詳にされていた(そんな相手には絶対に勝てない)。
すべてのものをあるべき場所に置く
その後、現在にかけてこの特権は大きく変化した。
特権が無くなったから責任を失したのか、責任を放棄したから特権を失ったのか。今に特権だけが残っているパターンもあって、それが一番救われない。
恩と義理
なるほど、と思う。そして、私たちがそのように振る舞うのは、逆に反発を食らって「恥」をかくのを避けるためとも言える。
「汚名」に対する極端な神経過敏
これは日本人が捨てた方がいい考え方のトップ3に入ると思う。
誤りを察知した時点ですぐに認めて軌道修正する方がどう考えても生産的だし、逆になんで辞めるだけですべての責任を手放せることになっているのかも不思議。
アメリカ人のその考え方が欲しい。
練達を獲得する手段「禅」
すごく納得。
日本の仏教は、あくまで仏教をベースにして日本ナイズされた宗教なんだ。(別にそれが良いというわけでも悪いというわけでもなく事実として)
幼児時代の容認とその後の束縛
このように育つから、日本では絶対的な道徳よりも集団の価値観が振る舞いの「正しさ」を決める。
幼少期から成人への社会から求められる最適な態度の変化を受容できない人が多いのは今も昔も変わらないのか……。
現代では若干状況は変化しているけど、例えば初等教育で個を認められず、高等教育では個の発揮を求められ、企業に入ると和と個の融合を求めらるその差異に混乱する人は多い、よね。
自分ごととしても、他人ごととしても、「わかる……」の一言。