「顧客視点」とは?今日から活かせる!大企業の”やり方”から学べるDX
DXというワードの抽象度:富士山級
前置き長いので、まとめるとこんな感じ⏬ 本題は、今回紹介する企業は:インスタグラム社からになります。(時間ない人は飛んでくださいw)
先日、とある団体のDX担当の方とお話ししました。
会議室に入るなり早々「DXって難しいですよね...」とパソコンを開きながらため息混じりに呟かれました。
もう少し話を聞いてみると、経済産業省の掲げるDXの定義は大企業向けに作られており分かりにくく、中小企業(その中でも特に小規模)でDXを進めるのは想像以上に困難だそう。
その理由としては、「DXはやらないといけない、と分かっているが、具体的に”何が”できるのかが明確にできない」など。
セミナーを受講したり、中小企業診断士の方とお話しをする中で「概要」は分かるものの具体的な一歩の踏み出しが分からない、という意見があるそうです。
そして、最後には費用面で躓いてしまうことも少なくない。
中小企業だからこそ!でも現実は違う。
しかし、ITコンサルタント兼kintone構築をしている者の意見だと「中小企業だからこそDXをガンガン進めていける!」と考えます。
なぜなら
・中小企業の場合は大きな基幹システムを使っていることが少ない
・大企業と比べ人数が少ないので団結すればフレキシブルに進められる
・最近のクラウド型業務改善ツールは費用も安い上に月額契約のものが多いので低リスクで始めることができる
(kintoneという業務改善プラットフォームは¥7,500から始められる(最低5ユーザーから¥1500/ユーザー))
それは、DXというワードの抽象度が富士山並みに高いこと。
大企業向けの発信が多い限り、中小企業からすれば「自分ごと」と捉えられないのは当たり前かと思います。
だからこそ、具体的な視点に落として発信をすることが大切なんだと。
「支援する側」vs「支援される側」の間にある壁を少しでも薄くする、そんな発信を心がけたいと思いました。
なので今回は、DXが進んでいる大企業が”やっていること”を紹介。中小企業が参考にし、実際に活用できる部分を具体的に書いていきます!
今回紹介する企業は:インスタグラム社
「おい、って言ってもデカすぎるだろうよ。世界の企業すぎるやろ。」と思った方も安心してください。
広大な地に置き去りにするようなことは、しません。
ここでのDXの定義
知らない人はいない企業:インスタグラム
この企業では、自社のデジタルツール(もちろんインスタ)を活用しCX(顧客体験)の向上に努めています。
自分のスマホに「インスタグラム」はありますか?
1日どれぐらい利用して、どんなアカウントをフォローしているでしょうか?
ユーザーとの交流
インスタグラムのストーリーに「質問機能」があることは知っていますか?インスタグラムを既にやっている方なら一度は見たことのある機能。
自分のあげたストーリーにスタンプのように「質問箱」を貼り付けると、誰でもその質問に答えることができます。
その機能を上手く使い、ユーザーと交流をしているのがインスタグラムの責任者:アダムモセリです。
毎週1回、アダムは自身のアカウントで「質問を募集」します。
内容は様々で、インスタグラムのアルゴリズムや今後の方向性などについてです。(たまに私生活においての質問もありますが、この「回答」になにかインスタグラムを活用するヒントが隠れていないかとユーザーは注目します。)
ユーザーの抱えている疑問、や意見にアダム自身が応えます。ここで重要な点としては、データには現れていないかもしれないユーザーの「生の声」を集めているところ。
そして、ユーザーの生の声に対して積極的に受け止めるアプローチをしているという部分。
機能お試し×アップデート
最近のインスタグラムは機能アップデートを頻繁に行います。(インスタグラマーからすれば、「変更が多すぎる!」と文句が出ている部分ではあるのですが....)
機能のアップデートの際は、もちろんアダム自身が動画で最新のアップデート情報を話します。
ユーザーの要望に応えた機能のアップデート(例:誰でもストーリーでリンクスタンプを使えるようになったなど)に加え、全くの新しい機能の追加なども行われます。
※現在NFT共有機能お試し中
ここ、〈デジタルの力〉が発揮される部分です。
インスタグラムでは、最新の機能を追加する前に「特定のユーザー」のみ機能を公開して”お試し”期間を設けます。
そこから、ユーザーの意見やデータを集め、実際にインスタグラムの新たな機能として全ユーザーに公開する価値があるものか?を判断します。(データを活用した判断)
ユーザーと交流しながら、ユーザーの意見や要望を踏まえ、インスタグラムのアプリをより良くする▶️ユーザー体験を向上させる
これがインスタグラムにおけるDXな姿勢であるのではないでしょうか?
データを見るだけで終わらない
インスタグラムのような企業となれば、個人のデータは膨大に持っているはずなので、アダムモセリ自ら質問対応などしなくても、欲しい情報は別の方法で手に入るはずです。
しかし、ここで非常に重要なのは「姿勢」です。
「あなたの声届いていますよ」という顧客視点でサービス向上を目指している姿勢を見せているというところ。
インスタグラムから学べるところ
インスタグラムが行なっていることは
・ユーザーとの交流の場を持つ
・ユーザーデータを分析し、機能アップデートに活かしている
・コアユーザーに対して新機能を「お試し」で公開し、上手くいくか見定める(低リスクの挑戦)
これらはインスタグラム社”しか”できないことではない、と思いませんか?
まずは「データを活用」できる体制を創りあげる
まず、顧客のことをどれぐらい知っていますか?
現状のサービスを良くする、良くしたいときの「起点」は誰でしょうか?
ユーザーとの交流の場を持つ
ユーザーデータ分析し、機能アップデートに活かしている
コアユーザーに対して新機能を「お試し」で公開し、上手くいくか見定める
これら3つを行うツールは既に誰もが片手に持っています。
DXを進めるためには、データを活用できる体制を整えなければなりません。
ちょこっと事例
以前、兵庫県にある老舗の菓子屋さんのインスタグラム運用をお手伝いしたことがあります。
主の事業としては、他社の菓子を製造するOEMだったので自社製品はオンラインで細々と販売しているだけでした。
百貨店や雑貨屋さんで商品を扱っていただけることもあったのですが、それを「伝える」場所はウェブサイト。
ウェブサイトという「受け身」プラットフォームでは伝えたい人たちに情報が発信できていませんでした。
インスタグラムで、コアファンとのコミュニケーションに力を入れた情報発信を開始。
SNS運用を開始してからの変化(フォロワー300人程度で)
・インスタグラムから商品の注文が入るように
・インスタのDMから商品の取り置き予約が入るように
(店舗はなく、製造工場だったのですが「予約」があった際はお持ち帰りができる体制を整えた。事務所の一部を”ミニ店舗”とか化した。)
・顧客から「こんな商品も作ってほしい!」などの要望が入るように
フォロワー300人はけして多くはないです。
しかし、それでも顧客との交流が密になり商品のファン▶️コアファン化。小さくではありますが「商品の販売体制」「商品の購入の仕方」が変わりました。
これからの動き
コアファンの方に「試作段階の商品」を食べてもらい意見/要望を活かし、「一緒に商品開発」をしていきたいとのことです。
インスタグラムを活用することで、顧客の「声」が届くようになりました。
今まで社長が起点となり商品を開発、販売していた体制から、「顧客」に直接聞いたり「顧客は何を求めているのか?」の顧客視点がビジネスに加わったのです。
とりあえず、SNSを真剣にやることは何かに繋がる
DXを進める上では「データを活用できる体制」を整えることが重要です。
(※SNSとはインスタグラムだけでなく、Facebook, YouTube, TikTok,など全て含みます。)
🔼記事に書いたように、
社内業務のデジタル化を進めることもDXを進めるために必須です。と同時に、「顧客を知る」体制をゆっくりじっくり整えていくことも同じぐらい、いや、もっと大切と言えます。
いえ、もちろんそんなことはありません。SNS発信にも様々な「視点」があります。この発信方法はまた記事を書こうと思います。
SNSは長期戦、そして定期的に更新しなければ効果がでないので日々の業務に追われている中小企業にとって「始める価値」「続ける価値」が低くなってしまうのも事実。
しかし、「目的」と「更新内容」が明確にれば必ずビジネスが変わります。
現在、自社のSNSは存在していますか?定期的に更新されているでしょうか?
終わりに
このnoteでは、「中小企業が小さく始められるDXの進め方」をテーマにDXを進める上での具体的なステップを発信しています。
悪く言ってしまえば「足元」に焦点を当てているために周りが見えづらい(他が何をしているのかが分からない)のが事実。
なので、これからはDXが進んでいる企業の「DXの在り方/姿勢」など視野を広げた記事も書いていきたいと思います。
さまざまなDXの形、そして在り方が分かればきっとヒントが見つかるはずです。
参考文献-
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